2024年12月23日(月)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2022年11月7日

 双方とも出来るだけ戦場で勝って、強い立場から交渉したいと考えるだろう。ラックマンは、外交と戦争は同時並行で進むべきだと言う。外交と戦闘を二者択一に考えるべきでないというのは、正しい(特に現段階に至っては)。

解決点をどこに見出すのか

 もう一つ難しい問題は交渉のパラメーターである。ウクライナ戦争は、この点が特に難しいように見える。外交交渉での取引の均衡が非常に難しい。何故ならこの戦争は余りに酷いロシアの侵略であり、半々のバランスではロシアを利することになる可能性が高い。

 ラックマンはクリミアが最大の難問だと言う。しかし、賠償の支払い、戦争犯罪の追及等の問題もありうる。対露制裁を一挙に解除することもできないだろう。

 ウクライナ対ロシアの取引が難しければ欧州に係る要素や米露関係の要素を入れてパッケージを大きくすることが考えられるが、それも容易ではない。しかし、外交はもう進めるべきであろう。

 仲介者についても、ラックマンの示唆する通り、トルコ、インドの可能性がある。国連も自力ではともかく、何らかの形で関与させるのが有益かもしれない。中国の役割を期待する向きがあるかもしれないが、側面援助はともかく仲介者にするには信用が足りない。

 つくづくプーチンは理屈のない、無思慮な戦争を無謀に始めたものだ。戦争は最低でももっと合理的で、規律のあるべきものだ。

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