2024年11月21日(木)

食の「危険」情報の真実

2022年11月11日

 同資料の家庭系の内訳をみると、食べ残しが42.5%(105万トン)、直接廃棄が44.1%(109万トン)、過剰除去13.4%(33万トン)。食べ残しは文字通り、過剰除去とは野菜の皮を厚くむきすぎるなど、食べられる部分が捨てられるものをさす。

図2 消費者庁「食品ロス削減関係参考資料 2022年6月14日版」7ページ 

 最も割合の大きい44.1%を占める直接廃棄とは、消費期限・賞味期限が切れたために廃棄されるケースである。発生の要因は買いすぎ、食材の在庫確認不足、もらい物で好みに合わないなどが挙げられている。

 まず、消費期限と賞味期限の復習をしてから、その実態を詳細にみてみよう。消費期限は「品質が劣化せずに安全に食べられる年月日」、賞味期限は「品質は劣化せずにおいしく食べられる年月日」を意味している。消費期限は期限が過ぎると安全性は確保されておらず、賞味期限は期限を過ぎても食べることはできる。とはいっても、匂いも確かめないで捨てるのは、さすがにもったいないと思っている人は少なくない。

賞味期限で捨てる人はまだいる

 2017年、インターネットリサーチDIMSDRIVEのアンケート(N=3875人)によると、賞味期限と消費期限の違いを知っている人は88.8%、購入時に賞味期限・消費期限を意識している人は79.2%。食品の種類によっては賞味期限や消費期限を気にしている割合が異なっており、ここに「もったいない」精神が垣間見られる。

 例えば、消費期限・賞味期限が最も気にされているのは、生鮮食品(肉や魚)で82.2%。牛乳(73.2%)、豆腐(64.7%)、卵(61%)、ヨーグルト(58.2%)と続く。生鮮食品でも野菜だと46.0%と低くなる。一方、レトルト食品(25.1%)、冷凍食品(21.6%)、乾麺(19.5%)、カップ麺(17.1%)、缶詰(16.1%)などの劣化しにくい食品では、消費期限や賞味期限を気にする人の割合は低くなっている。

 そして、同調査の他の問を見ると、期限の近づいた食品はとりあえず冷凍している人が57%もおり、ここでも「もったいない」精神は健全だ。

 ここで、図3に記した日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会(NACS)によるアンケート調査を見てみると、「食品廃棄の理由」で「賞味期限切れ」を選んだ人は「鮮度や味が落ちたから」を選んだ人よりも多い。設問は複数回答なので、「鮮度や味が落ちたから」を選んだ人がすべて「賞味期限切れ」を選んでいたとしても、賞味期限切れだけの理由で廃棄した人が100人ほどいると推定でき、直接廃棄に「消費期限・賞味期限」が強く影響していることがわかる。

図3公益社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会「食品ロス削減に関する意識調査報告」 写真を拡大

 一方、消費者は消費期限・賞味期限が近いために値下げした食品を購入し、財布にも優しい判断もしている。賞味期限や消費期限が近づいて値下げした野菜やパンを購入していると回答した人は70~80%で、これも食品ロス削減への貢献の一つであることは間違いない(NASC調査Q6)。


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