軍の組織力が弱い国は
サッカーの組織力も弱い?
高橋 アフリカは内戦を含めてずっと戦争が起きているエリアだが、多くの国が独立して30年近く経つのに、高い軍事能力を誇る国はあまりない。国連平和維持活動(PKO)でもアフリカ諸国の軍の規律が低いことが問題視されており、組織力の低さが表れている。
サッカーの面で見ると、アフリカには身体能力の高い選手が多く、個の能力に頼ったサッカーを展開する印象があるが、組織力の低さはサッカーの戦術にも共通するものなのか。
河治 戦術面で組織化され、チームの規律がある国がアフリカ予選を突破したという特徴は上げることができる。アフリカは国の数が多い割にW杯本選の出場枠が少ない。さらに、グループ方式で勝ち点を競う二次予選を突破しても、ノックダウン方式の最終予選を戦わなければいけない。ゆえに、もっとも予選突破が難しい地域といわれている。実際、今大会でも強豪国のナイジェリアとコートジボワールが本選出場を逃した。
世界屈指のタレントを多く抱えるコートジボワールは、比較的組織化されたチームとして知られるカメルーンと二次予選で同組になり敗退してしまった。カメルーンは同国代表の伝説的なディフェンスリーダーであるソング監督が中心選手の心を掴み、チームをまとめている。中長期にわたるW杯予選では、コートジボワールのような個の主張がぶつかり合うチームよりも、カメルーンのような統率の取れたチームの方が強さを発揮する傾向にある。
平成の時代から続く慢性的な不況に追い打ちをかけたコロナ禍……。 国民全体が「我慢」を強いられ、やり場のない「不安」を抱えてきた。 そうした日々から解放され、感動をもたらす不思議な力が、スポーツにはある。 中でもサッカー界にとって今年は節目の年だ。 30年の歴史を紡いだJリーグ、日本中を熱気に包んだ20年前のW杯日韓大会、 そしていよいよ、カタールで国の威信をかけた戦いが始まる。 ボール一つで、世界のどこでも、誰とでも──。 サッカーを通じて、日本に漂う閉塞感を打開するヒントを探る。