2022年12月9日(金)

Wedge SPECIAL REPORT

2022年11月22日

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 11月20日にサッカーのFIFAワールドカップ(W杯)が開幕し、カタールの地で国の威信をかけた熱戦が繰り広げられている。しかし、このW杯を選手、戦術、対戦カードに着目して観戦するだけではもったいない。

 前編では、サッカーの潮流と政治の関係を中心に、スポーツジャーナリスト・河治良幸氏と安全保障専門家・高橋杉雄氏が語り合った。後編では、ロシア・ウクライナ戦争下での出場国の動きや日本代表への期待について、熱く議論する。

​(聞き手/構成・編集部 鈴木賢太郎)
河治良幸×高橋杉雄(WEDGE)

サッカーから見える
米国の安保上の強み

高橋 カタールW杯の出場国を政治や安全保障のフィルターを通してみるとさまざまな特徴が挙げられる。米国の条約上の同盟国は、日米同盟や米韓同盟、北大西洋条約機構(NATO)を合わせ計15カ国ある(編集部注:イングランドとウェールズは同じ英国だがダブルカウントしている)。さらに条約未締結だが同盟国扱いのサウジアラビアとカタールを含めると17カ国になる。米国が結んでいる同盟ネットワークの強さがサッカーから見えてくるというのは興味深い。米国の同盟国には豊かな国が多いという証拠なのかもしれない。

高橋杉雄 Sugio Takahashi 
防衛省防衛研究所 防衛政策研究室長
早稲田大学大学院政治学研究科修士課程修了、ジョージワシントン大学コロンビアンスクール修士課程修了。専門は安全保障論、日米同盟。安全保障研究者の中では屈指のスポーツ好きとして知られる。カタールW杯の優勝国は「ブラジル」と予想。注目選手として三笘薫(日本代表)を挙げる。

河治 代表チームの活動を考えると、国自体が豊かでないとチームの強化は難しい。国際親善試合の対戦相手の招致(マッチメイク)、選手の移動や練習環境の整備にも資金が必要になる。金銭的な支えの有無がチームの浮沈に影響することは明らかだろう。

河治良幸 Yoshiyuki Kawaji 
スポーツジャーナリスト
青山学院大学大学院文学研究科博士課程修了。サッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』の創刊に携わり、日本代表を担当。プレー分析を軸にグローバルな視点でサッカーの潮流を見続けている。カタールW杯の優勝国は「ブラジル」と予想。注目選手としてベネット(コスタリカ代表)を挙げる。

高橋 もう一つ興味深いのは、核拡散防止条約(NPT)で認められた核兵器国のうち、西側の核保有国である米国、英国(イングランドとウェールズ)、フランスはW杯に出場しているが、中国とロシアは出場していない。さらに、NPTで認められていない核保有国であるインド、パキスタン、イスラエル、北朝鮮の4カ国はW杯に出場していない。核開発を行うことができても、サッカーではW杯の舞台に出場できていないという点は、シンプルに興味深い。その意味ではイランの今後は気になる。

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