2023年1月30日(月)

勝負の分かれ目

2022年11月17日

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 海外FA権取得で今オフ、巨人入りのウワサも「既定路線」のごとく方々で飛び交っていた阪神タイガースの西勇輝投手は権利行使の末、大方の予想を覆し〝まさか〟のチーム残留。こうやって今オフの巨人を巡るストーブリーグの成果をあらためて振り返ってみると、ひと昔前まで水戸黄門の印籠ばりに輝きを放っていた「Gブランド」の価値は唯一無二のものではなくなっているのかもしれない。

 ちなみに11月17日現在までの段階で巨人が獲得に踏み切った「目玉」の新戦力は大ベテラン2人である。まずは広島東洋カープから無償トレードで加入した37歳の長野久義外野手だ。2018年オフに広島から巨人に移籍した丸佳浩選手の人的補償によって広島へ移籍していたが、5年ぶりに古巣へ復帰することになった。

 そして、もう1人はソフトバンクを今季限りで自由契約となった39歳の松田宣浩内野手である。日本一達成を数多く経験し、侍ジャパンでも活躍するなど輝かしい経歴を誇る両ベテランの歩みについては、いまさらここで振り返るまでもないだろう。

2人には〝育成コーチ兼任〟への期待も

 原監督は両ベテランに対して「レギュラーを狙って欲しい」と期待をかけているが、この言葉通りになってしまったら逆に言えば巨人の未来には暗雲が垂れ込めることになる。むしろ両ベテランの加入によってチーム内のポジション争いがさらに激しさを増し、個々の尻に火がつくことによって若手たちのレベルアップを促す相乗効果も期待しているようだ。

 宮崎の秋季キャンプでアピールを続けている20歳の秋広優人内野手や22歳の増田陸内野手、それにさすがに「若手」とは呼びづらく中堅クラスの域に入りつつある来季6年目の29歳・若林晃弘内野手と27歳・北村拓己内野手、そして来季8年目の25歳・広岡大志外野手らは両ベテランの加入で刺激を受けなければならない存在であることは間違いないだろう。

 松田と長野をよく知る巨人OBは「球団としては『育成と発掘』のビジョンを掲げている中、生え抜き戦力の底上げを怠るわけにはいかない。そういう観点で考えれば、長野の復帰と松田の加入はこれ以上ないプラス材料。彼ら2人の『フォア・ザ・チーム』を全面に押し出す献身的な姿勢と求心力の高さは伸び悩む若手たちにとっても、いいお手本になる。表立った肩書きこそないが、松田と長野には〝育成コーチ兼任〟の役割が期待されているのは言うまでもない」と解説する。

 これまで右の代打の切り札は40歳の中島宏之内野手のみだったが、松田と長野のベテラン右打者2人が加わってウィークポイントも解消されそうだ。「果たして右の代打が3人も必要なのか」という厳しいツッコミもあるとはいえ、やはり群を抜く経験豊富さと圧倒的なネームバリューを持ち合わせる松田と長野がレギュラーにはならずともただベンチにいるだけで相手に脅威を与える存在であることは間違いないところだ。


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