2024年11月28日(木)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2022年11月21日

 プーチンは合理的な人であるとの上記のマックス・ブートの意見については、ある程度まで同意する。しかし、プーチンは現実を認識する際に、彼のこうあるべきという当為の考え、すなわちイデオロギーによって認識が歪められているように思われる。

ゼレンスキーはどう交渉していくのか

 プーチンは、ヒトラーのように地下壕にこもり自殺するような人ではなく、第三次大戦を引き起こしたり、核の使用をしたりはしないだろうが、とんでもない物語を作り上げて、それを信じて大きな誤算をする人である。

 ウクライナ人はロシアの侵攻を歓迎すると誤算するなど、要するに現実離れしていて現実認識がうまくできないところがある。「合理的なところがある」程度に考えておくのが正解だろう。

 プーチンはキーウ正面での敗退、イジュ―ムでの敗退、ヘルソンでの敗退など、現実を突きつけられて初めて正気に返ると思われる。ウクライナが戦場で努力を続け、プーチンが現実的、合理的になった時に、ロシアとウクライナの交渉でこの戦争を終わりにするという事であろう。

 ゼレンスキーの対露要求は、戦争開始時の侵攻前のラインへのロシア軍の撤収から、今やウクライナの1991年の国境の回復、戦争犯罪人の処罰、戦争被害の補償などに広がってきている。ただ、これはウクライナで民主的に選ばれたゼレンスキーが決める事であり、われわれが外からあれこれいう話ではない。

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