2024年4月20日(土)

都市vs地方 

2022年12月8日

 つくばエクスプレス(TX)は東京の秋葉原から埼玉県、千葉県を経て茨城県のつくばに向かう全長60キロメートル近い長大路線で2005年に開通した。1都3県が出資する自治体鉄道である。これによって常磐線の混雑が改善された。

 TXについても反対論が強かった。人口減少時代に採算がとれないというのだ。実際には計画よりずっと多くの乗客が利用し、今ではさらなる輸送力増強策が必要とされている。

 茨城県はTXについて、臨海地下鉄との接続だけでなく、つくば駅から先の延伸先として筑波山、水戸、茨城空港、それに土浦の4方面の案を示している。鉄道計画は、日本全体の人口増減だけでなく、その沿線地域の経済的・社会的・文化的な発展・充実の将来性、広域的な交通ネットワーク上の役割等によって決められるべきである。

交通ネットワークの将来像と臨海地下鉄

 インターネットで見られた反対論の中には、「住民が少ない臨海部(ベイエリア)に地下鉄は不要」とする声もあった。しかし、鉄道を使うのは、その地区に住む住民だけではない。この地区は夜間人口に対する昼間人口比率(2015年国勢調査)が千代田区1460%、中央区431%、港区386%、江東区122%と高い。これは、昼間に多くの人がいることを意味しており、そうした人々による移動需要がある。

 加えて東京五輪の直後から、ベイエリアに関わる地域一体の地下鉄等の延伸計画が一気に具体化している。これらの路線との交通ネットワーク上、臨海地下鉄は重要な路線である。

 第一に、長い年月にわたって課題とされてきた東京メトロ有楽町線の豊洲-住吉延伸が決まった。これにより日本一の混雑度といわれた東西線の多少の混雑緩和が期待される。東西線は千葉方面から東京湾に沿って東京の西に向かう路線である。豊洲はベイエリアの北部に位置し、各地下鉄路線の結節点にある。

 第二に東京メトロ南北線の白金高輪-品川延伸も決まった。ベイエリア西側の主要駅である品川には、橋本、甲府、長野、名古屋と直結するリニア中央新幹線が工事中である。その品川駅から地下鉄で北の埼玉方面や南の横浜方面に向かうことが可能となる。

 第三に、具体的に動き出した新空港線(蒲蒲線)により、横浜方面からの東急多摩川線と京浜急行の羽田空港線が直結することにより羽田空港への利便性が増す。

 第四にJR東日本による羽田空港アクセス線のプロジェクトも進行中である。東京駅直結ルートが2029年開業を目標としている。羽田空港とから千葉方面、新宿方面へのルートも計画されている。

 羽田空港は、1999年発着枠が23.4万回だったが2020年には48.6万回とほぼ倍増している。これは4本目の滑走路建設やその他の改善の結果である。

 この20年間の増便の内容を見ると国際便(片道)4便が130便へと大きく増えているのに対し、国内便(片道)は316便から465便に増えているにすぎない。現在でも国内各地方都市から羽田便就航・増便ニーズは大きい。国際便の増加要求もいずれ近い内に回復するだろう。貨物についても電子部品・高級消費物資等輸送需要の増加が見込まれる。


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