2024年11月22日(金)

2024年米大統領選挙への道

2022年12月12日

イバンカも出汁に

 リンカーン・プロジェクトによるトランプ批判の政治広告をもう1つ紹介しよう。トランプ氏の長女で大統領補佐官を務めたイバンカ氏が自身のインスタグラムに、今後は「政治に関与しない」と投稿すると、リンカーン・プロジェクトは透かさず、「娘さんは24年大統領選挙に関与することは過ちだと考えている」というメッセージを発信した。その上で、「彼女(イバンカ氏)は、あなた(トランプ氏)が勝てないと考えている。われわれもそう思う」と加えた。

 米NBCニュースによると、バイデン大統領の支持率に関する世論調査で、同大統領に関して「やや反対」と回答した有権者が、11月8日の中間選挙で共和党候補よりも民主党候補に4ポイント多く投票していたことが分かった。バイデン氏に「強く反対」と答えた有権者は共和党候補に投票したのだが、「やや反対」は過激主義のMAGA候補を避けて、民主党候補に一票を投じたのである。

 24年米大統領選挙でも、リンカーン・プロジェクトと民主党大統領候補がMAGAを集中攻撃すれば、民主党大統領候補にとって「やや反対」票を獲得できる可能性が高まる。

デサンティスの「独裁政治」

 リンカーン・プロジェクトはトランプ前大統領のみならず、デサンティス知事にも厳しい批判を浴びせている。一例を挙げてみよう。

 同プロジェクトは「独裁政治」というタイトルの政治広告の中で、中間選挙においてデサンティス氏が知事の権限を利用した問題を取り上げた。フロリダ州のシャーロット、サラソータ及びリーの3郡を対象に、期日前投票の期間延長を許可したというのだ。

 9月下旬にフロリダ州を襲ったハリケーン「イアン」は、他の郡にも甚大な被害を与えたが、デサンティス知事は上の3郡のみに特別な許可を与えた。なぜ3郡にこだわるのか。

 3郡で45万人の有権者が共和党に有権者登録をしており、いわゆる、3郡は共和党が強い「赤い郡(赤は共和党のシンボルカラー)」なのである。投票権を擁護する団体は、フロリダ州の全郡に対して期日前投票の期間延長を実施するように要求していた。

 リンカーン・プロジェクトはデサンティス知事が「自然災害を政治化した」と批判した上で、「これは民主主義ではない。独裁政治だ」と訴えた。仮にデサンティス氏が次期大統領選挙に出馬した場合、同プロジェクトはトランプ氏に加えて、デサンティス知事も標的にすることは明白である。


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