MAGA、トランプ、デサンティスの「三角関係」
エコノミストとユーゴヴの調査(22年11月19~22日実施)では、20年米大統領選挙でトランプに一票を投じた有権者の83%が、デサンティス知事に「好感を持っている」と回答した。以前述べたが、デサンティス知事が24年大統領選挙に出馬すれば、トランプ前大統領と同知事による「MAGAの奪い合い」が激化することは間違いない。
では仮にそうなった場合、MAGA、トランプ前大統領、デサンティス知事の「三角関係」はどうなるのか。MAGAはどちらの候補につくのか。
リンカーン・プロジェクトは、MAGAがデサンティス知事のためにトランプ前大統領を見捨てることはないとみている。MAGAはデサンティス知事に好感を抱いているが、同知事が出馬する番ではないと思っているというのだ。
というのは、MAGAはトランプ前大統領が在職中、「ロシア疑惑」という「魔女狩り」の犠牲者になり、20年米大統領選挙では不正によってバイデン大統領に敗れたと信じているからだ。従って、MAGAはトランプ氏にもう1回チャンスが与えられるべきだと考えている。
加えて、MAGAはトランプ前大統領に逆らうことはしないし、そもそも現在のデサンティス知事の政治キャリアは、トランプ前大統領のお陰であると認識している。確かに、トランプ氏は18年フロリダ州知事選挙で苦戦を強いられていたデサンティス氏を助けた。
以上の理由から、リンカーン・プロジェクトは、デサンティス知事がトランプ前大統領に挑戦しても、同前大統領を倒すことができないとみている。
ただ、リンカーン・プロジェクトのこの政治広告は、共和党予備選挙で過激なMAGAと一体化しているトランプ前大統領に勝利してもらいたいという願望が含まれているのではないだろうか。トランプ氏が共和党大統領候補になり、本選に進めば、無党派層と若者が逃げて、民主党大統領候補が勝利する公算が高まるからである。少なくとも筆者にはそうみえる。