2024年4月19日(金)

古希バックパッカー海外放浪記

2022年12月29日

外界から隔絶された異次元空間

 12月8日。グーグルマップを見ていたら、ある超高級リゾートを発見した。どのホテル予約サイトでも1泊二十数万円である。ゲストハウスから徒歩1時間半くらいなので散歩がてら出かけた。

 途中洒落たリゾートがあったので休憩がてら立ち寄り、夜勤明けのマネージャーから話を聞いた。10棟の独立したヴィラがあり、そのうち、いくつかはプライベート・プール付きだ。メインプールからはインド洋が一望できる。

 料金的には客が少ない時期なので1泊2万~4万円とのこと。当日はほぼ満室で半分がロシア人、残りがオーストラリア、英国、韓国という。年末から1月末までは繁忙期なので料金は2~3倍になるという。

 さらに熱帯雨林の炎天下の人気のない細道を延々と小一時間あるくと、石壁にそのリゾートのロゴがあった。さらに数百メートル行くとゲートがあり警備員が敬礼して足早に近づいてきた。来訪目的を訪ねてきたので支配人に面会したい旨を告げた。ゲートを開けてから10メートルほど先の警備員詰め所にて来訪目的委細を説明するように指示された。

 放浪ジジイのいつもの習慣で事前にアポなど取らずにぶらっと訪れたので若干心配したが、詰め所で来訪目的を再度説明すると、トーキーで何やら連絡している。しばらくするとメイン・レセプションに行くように丁重に促された。警備員の英語のレベルが高く礼儀正しいことに感心。残念ながら筆者の半世紀近い経験において、日本人海外駐在員で同等レベルの英語を優雅に笑顔で話せる人間は余り多くない。

 メイン・レセプションまで200メートルほどの広大な芝生のガーデンのなかのエントランスを歩く。宿泊客は車でゲートを通過してメイン・レセプションで降りるという設計になっているようだ。メイン・レセプションは幅20メートル、高さ10メートル超の石造りの巨大な建造物だ。警備隊長らしき人物がにこやかに出迎えて、うやうやしく挨拶してからレセプション・デスクまで案内。

 ソファに座るとレセプショニストの女性がアイス・グリーンティーを捧げ持ってくる。堅固なセキュリティーと洗練された応接にVIP気分である。

1泊二十数万円のヴィラに何カ月も滞在するロシア人とは 

 ほどなくしてインドネシア人支配人登場。独立した別荘風のヴィラは60棟ほどあり、全棟インド洋を望むプライベート・プール付き。今週は平均して予約は30%程度だが来週は50%超、年末から1月はほぼ満室を見込んでいるという。

 支配人によるとコロナ以前は中国人ゲストが多かったが、2022年度は中国人ゲストはゼロ。かわりにロシア人が増えて半数以上を占めているという。

 他方で支配人はガルーダ航空のバリ島直行便が復活したのに日本人ゲストが来ないことを憂慮しているという。日本人旅行者にとりバリ島の魅力がなくなったのか? と問われたので、筆者からは「日本国内ではコロナ感染者数が依然として高水準なので何事に関しても心配性な日本人は海外旅行そのものに消極的になっているだけです」と説明した次第。

 支配人にロシア人ゲストについて尋ねると、数週間滞在するゲストが多く、1カ月さらには数カ月滞在するロシア人ゲストも少なくないとのこと。数千万円もの宿泊費用を躊躇なく支払えるロシア人とは悪名高いオリガルヒなのだろう。

 7年前に訪れた地中海のマルタ島のヨットハーバーを思い出した。ヨットハーバーの奥に巨大な真新しい豪華クルーザーが停泊していた。クルーザーのキャプテンの話では乗組員は18人、後部デッキはヘリポートになっている。オーナーはロシア人銀行家で年に数回くらい重要取引先と一緒に数日間クルージングに来るだけという。

 事前にオーナーの指定したポイントにクルーザーを回航しおいて、オーナー一行はヘリコプターで飛来してポイントで合流する。こうしたオリガルヒにとっては1カ月1000万円にも満たない宿泊費用など取るに足らないことなのだろうか。

以上 次回に続く

   
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