2024年12月22日(日)

古希バックパッカー海外放浪記

2022年12月2日

デンパサール空港で感じた違和感

 10月17日。クアラルンプールからバリ島デンパサール空港行のマレーシア航空便の搭乗手続きカウンターで予想外に待たされた。よく見ると英国がほとんど話せない白人乗客に手間取っている。耳を澄ませるとアチコチでロシア語が聞こえる。ロシア人が何組も手続きしているのだ。

 バリ島デンパサール空港ではシンガポール、バンコクから到着した便から続々と大柄なロシア人たちが降りて入国管理の列に並ぶ。大半がカップルや家族連れだ。喧しくロシア語が飛びかう。

 ウクライナで侵略戦争してるロシア人がなぜ遠いアジアのリゾートに大挙して押し寄せるのか。

美しいバリ島の棚田(Mikhail Sotnikov/Gettyimages)

ロシアはインドネシアの友好国?

 最初に投宿したスミニャックの安宿にはやむない事情から17泊と長逗留。フライトの乗継でバックパックが行方不明になったことと、ビザ延長手続きに日にちを要したためだ。お陰でさまざまな人から面白い話しを聴いた。

 10月12日の国連での対ロシア非難決議でインドネシアは棄権した。米国、日本はじめ143カ国が賛成、ロシア、ベラルーシ、北朝鮮、シリア、ニカラグアが反対。そして中国、ベトナム、インドネシアなど35カ国が棄権。なぜインドネシアは棄権したのか、そしてインドネシア人の反応を知りたかった。

 ジャカルタから投資物件としてヴィラ(高級別荘)を探しに来たインドラ氏44歳は長年海外のホテルで支配人をしてきた国際人で、かなりの論客。彼はジョコ大統領の判断を勇気ある英断と絶賛。スカルノ以来の非同盟主義外交であり、米国からさまざまな働きかけや圧力があったが、中立・等距離外交はインドネシアの国益を守ると断言。またインドネシアが議長国となるG20にプーチンを呼びたいという思惑もあったのではと推測する。

 インドネシア財務省で国際関係・対外政策企画部のエリート官僚26歳は大学で国際関係論専攻の才媛。彼女もインドネシアの伝統的外交方針からは当然の選択と。ロシアとは武器など軍事的関係は小さいが、インドネシアの製油所プロジェクトなどがあり友好関係維持のための選択と解説する。ちなみに彼女は来年国費留学生として英国オックスフォード大学で公共政策を学び修士号を取得するという超エリートだ。

フツウのインドネシア人はロシア好き?

 インドネシア人にロシアやロシア人について聞くと意外にも否定的コメントはほとんどない。他の欧米人と区別がつかず悪い印象がないようだ。そしてテレビで余り報道されぬこともあり、ウクライナ問題を知らない。日本人がアフリカの部族紛争を知らないのと同じような感じだ。 

 観光客としてロシア人を接客している地元民にはオーストラリア人もロシア人も一般的にはいいお客様のようだ。

ロシア人流入で高騰する不動産価格

 地元新聞によるとロシアのウクライナ侵攻前の今年はじめの時点ですでにバリ島には3万人のロシア人が滞在していたという。現時点では正確な数字は不明なるもかなり増えているようだ。

 バリ島の各地の不動産屋に聞いてみると異口同音にロシア人急増で物件が払底しているという。ロシア人だけでなく、国内外から、いわゆるデジタル・ノマドが長期滞在するため賃貸物件を求めていることもあるようだ。他方で、オーナーは週単位、月単位という短期賃貸で高収益を狙っている。好立地物件なら半年先まで予約で埋まっている。

 新規流入ロシア人たちはとりあえず1カ月借りて、期限前に延長するパターンという。


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