WHIPは、前述した通り、1イニング当たり、ヒット、四球でどれだけ走者を出したかの数値である。逆に言えば、どれだけ出塁を許さないかの指標。計算は簡単で、例えば、7回投げて、四球、ヒットで8人の走者を出した時のWHIPは、8÷7=1.14である。プロ野球の投手の平均は1.2~1.4といわれている。
杉内が1.03なのに対し、菅野はなんと0.71。走者を出しにくい投手といえる。ちなみにこの数字がどのくらいすごいのか。昨年、15勝6敗で、最多勝に輝いた同じく巨人軍の内海哲也投手のWHIPは、シーズン通算で1.15だった。
防御率は、投手の能力を探る上で、極めて優れた指標である。杉内投手の4月の防御率はすごい。しかし、防御率は、リリーフ投手など投球回数が少ない場合には最適とは言えない。1度の失敗が防御率に大きく響いてしまうことがあるからである。打者にどのくらい打たれたか、どのくらい走者を出してしまったのかを考慮して、1度の失敗などを排除したのが、ERC(計算式は極めて複雑なので省略)。打たれたヒットなど内容を考慮した防御率という意味である。ここぞという時に「打たれなかった投手」を優秀とする指標である。
新人は、経験不足から1回だけのビッグイニング(ヒットがたまたま集中するなどして大量点を取られる)になってしまうこともある。そうしたことを排除したERCで、2人を比較すると
杉内1.72、菅野1.29になる。菅野投手はここぞという本番に強いことを意味する。
「修正」できる投手は頭がよい
以上をまとめてみると、まず菅野の良さは
(1)ヒットや四球による走者を出さない。
(2)ホームラン以外の打球がフェアゾーンに飛んだ時のヒットの確率が低い
(3)優秀なリリーフ投手のように、土壇場のここぞという勝負どころで、打たれにくい。
ところにある。