ラショー名物!?
ブタの脳みそラーメン
だが、中国とミャンマーの関係は歴史的にも経済的にも日本より圧倒的に深い。マンダレーから中国との国境貿易の起点であるラショーに向かう道中、噂に聞いていた「パイプライン」を目撃することができた。ミャンマー西部のベンガル湾から中国昆明まで1000キロ以上伸びるガスパイプラインは、私たちが帰国したあとの6月、パイプラインを建設した中国石油天然気集団(CNPC)から発表された。
昨年、ラショーには一般の外国人は入ることができないと聞いて断念していたが、たまたまこの町の出身者とつながりを持つことができ、もはや外国人への規制は取り払われていると聞き、行ってみることにした。マンダレーからの道のり約6時間。この道路を管理して通行料を徴収しているのが、Asian World社だった。ミャンマーで1、2を争う大企業で、創業者であるLo Hsing Han氏は、中国系である果敢族の出身だ。ラショーには、この果敢族の人たちが多く住んでおり、Lo Hsing Han氏は私財を投じて高校を建てていた。
ラショーに来ると、不思議なことに食事が突然美味しくなったようにも感じられた。ヤンゴンなどで食べるミャンマー料理は、油っぽく、独特の臭みがあるのだが、ラショーではあっさりとした味で油っぽさもなくなり、ごはんも粘り気が強いものに変わる。これは日本人の口にとても合う。遠い昔日本人の先祖はこの辺りから海を渡ってやってきたのだろうか? などという想像も膨らませてみた。
そんな日本のルーツへの想像を打ち破ってくれたのが「ブタの脳みそラーメン」だ。さすがに、日本でブタの脳みそを食べるなんて聞いたことがない。朝食に「美味しいヌードル屋さんがあるから」と誘われて来てみたら、なぜかブタの脳みそ。朝にブタの脳みそを食べると、脳が活性化するのだろうか? ブタの脳みそが腹にあたって、まだ半分の取材日程が残るなか、下痢で過ごすのもキツい……(ちなみに過去2回の取材では後半、下痢で悩まされた)などと考えたが、そんなことはおかまいなしに案内役のおじさんは、食べさせる気満々で「ノーマルとスペシャルがあるけど、どっちにする?」と、笑顔で聞いてくる。おじさんのなかでは「美味いものを食べさせてやる」という親切心でいっぱいなのである。