2024年11月22日(金)

2024年米大統領選挙への道

2023年2月7日

ウクライナ支援と白人至上主義者

 MAGA系議員の中でも保守強硬派「フリーダム・コーカス(自由議員連盟)」のメンバーは、ウクライナ支援に非常に否定的である。その中心人物が、「ウルトラMAGA(超過激主義者)」「反ユダヤ主義」「陰謀論者」と呼ばれるマージョリー・テイラー・グリーン下院議員(共和党・ジョージア州)である。テイラー・グリーン議員は、ロシアとウクライナよりも、米国とメキシコとの国境に費やすべきだと強く訴えている。

 また、テイラー・グリーン議員は、白人至上主義者ニック・フェンテス氏主催の総会(22年2月)に参加した。その総会の一部を動画で確認すると、参加者から「プーチン・コール」が起こっていた。

 白人至上主義者は、ユダヤ系のゼレンスキー大統領よりも、白人のウラジーミル・プーチン露大統領を応援しているからだろう。米ニュース専門放送局のMSNBCは、この総会を「親ロシアのイベント」と呼んだ。

 トランプ前大統領とプーチン大統領の関係を考えれば、MAGAの中で白人至上主義の思想を信奉する者が、プーチン大統領を応援して、バイデン大統領のウクライナ対応の失敗を見たいのは納得がいく。

 すでに24年米大統領選挙への出馬宣言を行ったトランプ前大統領は、南部フロリダ州にある私邸マーラ・ア・ラーゴで昨年11月、フェンテス氏と夕食をした。会話の内容は明らかにされていないが、トランプ氏が「反バイデン・反ゼレンスキー」の白人至上主義者に選挙協力を求めたとみるのが自然である。

MAGA系議員の最終目的

 トランプ前大統領を支持するMAGA系議員の最終目的は、バイデン大統領を「ウクライナの民主主義を擁護できなかった大統領」にして、同大統領が出馬した場合、再選を阻止することである。彼らがその手段として用いるのが、ウクライナ支援打ち切り、武器供与のスピード並びにタイミングの遅延といった言動である。

 今後、ウクライナ支援は一層、24年米大統領選挙の道具と化すことは確かだ。

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