台湾軍とNATOの人的交流も
また、既に行われている台湾軍とNATOとの交流についても指摘した。台湾軍とNATOとの交流については、1月11日に台湾国防部も公表している。それによれば、台湾軍は将校を定期的にイタリアにあるNATO国防大学に派遣しており、この派遣は6、7年前から行われている由である。交流の位置づけは、今のところ軍事的交流ではなく、国際情勢についての「学術的交流」となっているようだ。
上記の論説は、ラスムセンが台湾訪問後、改めて国際社会に対し自由・民主の台湾を守るよう訴えたものである。同氏は論説の中でも「自由、民主主義、平和裏に自らの将来を決定する台湾人の権利を全面的に支持すると宣言するために、NATO事務総長経験者として初めて台湾を公式訪問した」と明言する。
ラスムセンが台湾を訪問したのは今回で2度目であり、1度目は1994年のことで、若手のデンマーク国会議員の一人としてであった。この時期は、李登輝が総統になって数年後のことであり、台湾は民主化への道を歩み始めたばかりの頃である。
そして、その後については、周知の通り、自由・民主の台湾は「経済的にも発展し、最先端技術のリーダーとなり、グローバル供給網の不可欠のリンク」となった。近年の台湾の民主主義の発展を熟知するラスムセンの上記論説における諸々の指摘は、台湾の今後の行方を考えるとき、示唆に富んだものといえよう。