ラスムセン前北大西洋条約機構(NATO)事務総長が、1月13日付けの英フィナンシャル・タイムズ紙掲載の論説‘Taiwan must not suffer the same fate as Ukraine’で、ロシアのウクライナ侵攻から得られる教訓を挙げ、民主主義陣営は台湾を支援することで、中国の台湾侵攻を抑止し、台湾人が自由、民主主義、自己決定の原則により自らの将来を決められるようにしなければならない、と論じている。要旨は次の通り。
第1の教訓。ウクライナの人々は戦う決意があるので、自らの自由・民主と祖国を守り抜いている。台湾に対する中国の軍事攻撃を食い止めるのは、何よりも侵略には膨大な代償を伴うことを相手に知らせることである。
その関連で、最近、蔡英文・民進党政権が徴兵制を4カ月から1年に延長したのは理にかなっている。
第2の教訓。欧州は入り混じったシグナルをウクライナに送ることを止めなければならない。2014年のロシアのクリミア侵略において、欧州がもし強い反抗の決意を一致して示していたら、今日のような全面的侵略という事態はなかったのではないかと思われる。
第3の教訓。究極的に重要なのは武器である。中国が台湾を攻撃するようなことになれば、米国は台湾を助けると、バイデン大統領は繰り返し述べているが、これは台湾にとって極めて重要な点である。
第4の教訓。中国の台湾への攻撃を抑止する最も重要なことは、ウクライナへの侵略において、今後ともウクライナが徹底抗戦してロシアに敗北しないことである。中国はウクライナ情勢をつぶさに観察しており、もしウクライナがロシアに敗北すれば、それを台湾侵攻に利用するに違いない。
民主主義世界がこの教訓を学び、今すぐ行動すれば、台湾はウクライナがこうむった恐怖を避け得る。我々の支援を通じて、台湾とウクライナの国民に自らの将来を、自由、民主主義、自己決定の原則に基づき決める力を与えることができる。
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今年1月初め、ラスムセンはNATO事務総長経験者として初めて台湾を公式訪問した。同氏は台湾滞在中の記者会見で、台湾有事の際のNATOの対応につき、かなり踏み込んだ発言をした。ラスムセンは、中国が台湾を武力攻撃した場合、NATOは台湾に必要な軍事援助を行い、台湾が自衛の能力を得られるよう対応する、と述べ、軍事演習・軍事訓練を示唆した。