2024年5月21日(火)

Wedge REPORT

2013年7月3日

 「被災された人々にとって、海は悔しくて辛い海でしょう。そんな方々の想いを太平洋の真ん中で投函してくることで、少しでも気持ちが和らいでくれればと思っています。この太平洋横断で、僕の夢が叶うとともに、海って素晴らしいんだということをもう一度感じていただくことができたら、僕のもう一つの夢が叶います」

 失明し一度は命を絶とうとしたヒロさんは、ポジティブシンキングを自らの意志で習得し、ヨットからたくさんの生きる喜びを獲得してきた。そして、その熱情が多くの人々を動かし、信じられないような広がり方で、今回のプロジェクトが形成されていった。

 被災地の人々にもう一度海の素晴らしさを感じてもらうことを願ったヒロさん。ブラインドセーリングを成し遂げた暁には、ヨットによる体験学校を開く考えだった。

 「生きる意味を見失った子どもたちを招き、ヨットの体験学習を行いたい。子どもにワッチ(見張り)の役をしてもらい、僕が操船する。君がいなければ進まないということをヨットが伝えてくれる。生きる意味をわかってもらえると思うんです」

 わたしは、今回の失敗で落ち込んでいるであろうヒロさんに、自身のこれらの言葉を思い出してもらいたいと思っている。これだけ周囲に前向きに生きることの尊さを伝えようとしたヒロさんは、再び太平洋横断にチャレンジする資格があると思う。そして、それを仕事を捨ててまでサポートしようとした辛坊さんや比企さんも。そして、こういう再チャレンジを、温かく応援する日本社会であってほしいと心から願う。

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