「情報の玉石混交」という意識を
――現状でもテックジャイアントが検索上位に、グレーな情報を表示しないなどが行われています。それにより零細な出版社などがウェブメディアを展開しても経営不振に陥る例も少なくありません。一民間企業であるプラットフォーマーが自分たちの思想に沿わない情報を排除しているのは、まるで言論統制のようで非常に危機感を抱いています。
桒原:プラットフォーマーがすべての基準を決めていますね。米国ならば、いわゆるリベラルな思想や民主党寄りの意見は守られ、親トランプ派や極右の過激な意見は排除されやすい状況です。
小宮山:私は、サイバー空間が健全に保たれるためには、グレーゾーンの情報を増やし、受け手に「ネットにある情報は玉石混交だ」ということを常に意識させることが重要ではないかと思いますね。そういった意味で今の社会では虚構新聞のようなメディアは非常に重要な役割を果たしていると思います。
中には、虚構新聞にかかれている記事を真実だと思い憤ってしまう人がいる。やはり、新聞のような見た目と記事であっても真実でないのかもしれないと疑う眼を養っていただきたいですね。
一方、Google側の意図も理解できます。とんでもない記事が検索上位にきては困るということはわかるんですよ。でも、グレーゾーンの記事を楽しむくらい余裕のある社会であってほしいとも思うのです。
小泉:やはり、「無菌状態」だとちょっとしたウイルスにも感染することがあるじゃないですか。今試しにGoogleで「ロシア 核兵器」と検索してみると、以前よりもまともな情報が検索の上位に表示されるようになっています。
以前ならば、真偽のわからない情報が検索上位を占めていたんですけどね。玉石混交の情報に触れながら、騙されてしまう失敗を重ねていくことが大事かなと思いますね。
ロシアのウクライナ侵攻は長期戦の様相を呈し始め、ロシア軍による市民の虐殺も明らかになった。日本を含めた世界はロシアとの対峙を覚悟し、経済制裁をいっそう強めつつある。もはや「戦前」には戻れない。安全保障、エネルギー、経済……不可逆の変化と向き合わねばならない。これ以上、戦火を広げないために、世界は、そして日本は何をすべきなのか。
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