2024年4月22日(月)

21世紀の安全保障論

2023年2月14日

 ウクライナのクレバ外相は1月31日、欧米から「第1弾」として供与される戦車が120~140両になるとの見通しを明らかにした。それらの戦車には米国製のM1エイブラムス戦車31両、英国製のチャレンジャー2戦車14両およびドイツ製のレオパルト2戦車14両が含まれることとなろう。

ウクライナへの供与が予定されているドイツ製のレオパルト2戦車(ロイター/アフロ)

 これらの戦車は米英独が誇る高性能の花形戦車であり、これらが侵略されたウクライナ領土の奪回に大きく貢献することを期待したい。しかし、これらの戦車の供与に懸念が無い訳ではない。ここでは、戦車の供与を巡る戦車の戦力発揮上の懸念および情報戦上の懸念に焦点を当てて考えてみたい。

戦車の供与だけでは戦力を発揮できない事情

 ウクライナ軍とロシア軍が対峙している戦線は、ウクライナ東部から南部に至る総延長1500キロメートルであり、これは札幌市と鹿児島市との直線距離にほぼ匹敵する長大なものだ。一方、戦車は集団で運用することで打撃力が最大化されるため、供与された120~140両の戦車は、特定の正面で集中運用される可能性が大きい。

 このため、当該正面での戦果は期待できるものの、今回の供与された戦車だけで長大な戦線全体での戦局打開に結びつくかは不透明である。更に、いかに高性能の戦車であっても、戦闘が続けば撃破されたり、損傷・故障したりして使用可能な戦車の数は徐々に減っていくため、追加の供与が継続的に行われなければ戦力は徐々に低下する。

 ウクライナでの戦争の先行きが見通せない中、米英独が今後とも継続的に戦車の供与を継続できるのか、懸念もある。

 また、戦車は決して無敵・万能ではない。戦車が戦力を発揮するためには、戦車を掩護・支援する機能が不可欠だ。


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