2024年4月17日(水)

2024年米大統領選挙への道

2023年3月10日

MAGAはロシアを応援しているのか?

 エコノミストとユーゴヴの調査では、ウクライナへの戦闘機供与に関して、民主党支持者の62%が「賛成」、18%が「反対」と回答し、「賛成」が「反対」を44ポイントもリードした。

 一方、共和党支持者は39%が「賛成」、44%が「反対」と回答し、「賛成」が「反対」を5ポイント下回った。共和党内では、ウクライナ支援に関して「分裂」が起きている。

 米議会共和党上院トップのミッチ・マコネル院内総務(南部ケンタッキー州)、重鎮のリンゼー・グラム上院議員(南部サウスカロライナ州)およびマイケル・マコール下院外交委員会委員長(南部テキサス州)等の幹部は、ウクライナへの戦闘機供与に賛成であるが、「少数派」と見られている。

 これに対して、トランプ前大統領を支持するMAGA(マガ Make America Great Again:米国を再び偉大にする)系議員は、戦闘機供与を含めたウクライナ支援に「反対」の立場をとっている。

 その代表的な議員が、以前紹介したマージョリー・テイラー・グリーン下院議員(南部ジョージア州)である。テイラー議員は、白人至上主義者のニック・フェンテス氏が主催した「親ロシア」と見られる集会で演説を行った。トランプ前大統領は、昨年11月南部フロリダ州の邸宅マーラ・ア・ラーゴにフェンテス氏を招いて会食をした。

 MAGAの狙いは、ウクライナ対応でバイデン大統領にレガシー(政治的功績)を作らせないことである。バイデン氏が専制主義からウクライナの民主主義を擁護できなければ、来年の大統領選挙と上下両院選挙を有利に戦えるという政治的計算があって当然だ。ということは、MAGAが本当にウクライナを応援しているのか疑問符が付く。

24年米大統領選挙と中国のロシアへの武器供与

 バイデン大統領は、中国がロシアとウクライナの戦争の鍵を握ると見ているようだ。中国がロシアへ直接的ないし間接的に武器供与を行うと、それが戦争におけるゲームチェンジャーになり得るからだ。

 バイデン大統領がウクライナ対応に失敗すれば、24年米大統領選挙で共和党大統領候補からの「最大の攻撃材料」になることは間違いない。
 
 そこで、バイデン大統領は習近平国家主席を強くけん制した。米ABCニュースとのインタビューで、「これは脅迫ではない。現実だ。ロシアからマクドナルドやエクソンなど600社の企業が撤退した」と、習国家主席に伝えたと明かした。ウクライナ国民を虐殺するロシアに武器を供与すると、同じ結果を招くと、自国の経済悪化を懸念する習氏に警鐘を鳴らした。
 
 加えて、バイデン大統領はインタビューの中で、「あなたは、中国経済は西側諸国からの投資にかかっていると私に語った」と、習氏にクギを刺したことも明かした。ロシアへの武器供与は、中国からの「欧米企業撤退」を意味するというメッセージである。

 バイデン大統領のこれらの言葉が、中国に対する「抑止力」になるのかは明白ではないが、「習近平対策」をとっていることは確かだ。


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