「コロナ中国責任論」なぜこのタイミングで再燃したのか?
バイデン政権内では突然、新型コロナウイルスの発生源を巡り議論が再燃した。米紙ウォール・ストリート・ジャーナルによれば、米エネルギー省と米連邦捜査局(FBI)は、中国武漢のウイルス研究所からウイルスが流出したと結論づけた。米中央情報局(CIA)を含めた2つの情報機関は、結論を出していない。他の情報機関は、動物から人間への感染説を支持している。
なぜ、このタイミングで新型コロナウイルスの発生源に関する議論が再燃したのか。
バイデン政権は、将来の感染症対策のためであると説明した。しかし、本当にそうなのか。それ以外に理由はないのだろうか。
米国では新型コロナウイルスによって111万7856人が死亡した(23年3月7日時点)。発生源の明確化は、「中国責任論」へと発展し、同国が懸念している世界からの「賠償金請求」に結び付く。
バイデン大統領は、中国がロシアに武器供与を行ったという確固たる証拠をつかんだ場合、新型コロナウイルスの発生源を武漢のウイルス研究所と断定するというシグナルを、習主席に送っているのではないだろうか。断定すれば、反中感情が強い米議会および米国民から中国に対して賠償金を求める声が高まるのは必至である。
中国のロシアの武器供与が争点となっている中で、新型コロナウイルス発生源の明確化は、バイデン大統領にとって同国を揺さぶる効果的な武器である。