2024年12月23日(月)

2024年米大統領選挙への道

2023年3月10日

 今回のテーマは「バイデンとウクライナ 2024年米大統領選挙の視点から」である。ジョー・バイデン米大統領の24年大統領選挙出馬の可能性について、ファーストレディのジル夫人はAP通信とのインタビューの中で、「いつ」「どこで」の問題であると語った。出馬宣言に関して、「タイミング」と「場所」の設定の段階に入っていることを明かした。

 昨年11月の中間選挙において、米国経済は高インフレに陥っていたのにもかかわらず、バイデン大統領は米上院選において選挙戦略で勝利を収めた(「上院奪還失敗、共和党は反トランプとMAGAへ分裂か?」参照)。通常であれば、米大統領選挙では国内の経済状況が選挙結果に影響を及ぼす。

 しかし、バイデン大統領は前回の中間選挙の経験から、選挙戦略で経済問題を乗り切ることができると確信したのではないだろうか。

 仮にそうだとすると、来年の大統領選挙ではバイデン大統領は、ウクライナ対応に時間とエネルギーを費やすことになる。そこで、本稿では同大統領とウクライナの関係を、24年米大統領選挙の視点から読み解く。

(REUTERS/AFLO)

バイデンの「カウンターパンチ」

 現在、バイデン大統領は80歳である。もし24年米大統領選挙に出馬して再選を果たすと、82歳で2期目を迎え、大統領職を離れるときは86歳になっている。ホワイトハウスの記者団並びにテレビ番組の司会者から年齢について問われると、同大統領は必ず「私を見てくれ」と答える。「この通り私は健康です」と言いたいのだろう。

 確かに、ウクライナの首都キーウでのウォロディミル・ゼレンスキー大統領との共同記者会見およびポーランドの首都ワルシャワでの情熱的な演説を聞く限り、バイデン大統領は極めて健康であると言える。ポーランドからキーウまで、列車で約10時間かけて移動したが、演説中、全く疲れを見せなかった。

 では、米国民はバイデン大統領の今回のウクライナ電撃訪問を支持したのか。雑誌エコノミストと調査会社ユーゴヴの共同世論調査(23年2月25~28日実施)によれば、全体で54%が「支持」、31%が「不支持」と回答し、「支持」が「不支持」を23ポイントも上回った。

 特に、前回の米大統領選挙でバイデン大統領に投票した有権者の80%、民主党支持者の77%が「支持」と答え、ウクライナ訪問を高く評価した。支持層はバイデン氏から離れていない。

 バイデン大統領は「どんなに時間がかかっても戦う価値がある」と主張し、キーウからウクライナ支援の気持ちが薄れている米国民に対して、支援継続の必要性を訴えた。 

 また、来年の米大統領選挙への出馬宣言を行うと見られているバイデン大統領は、ウクライナ訪問を通じて、自身の高齢を問題視する有権者に対してスタミナを見せつけた。彼らに「カウンターパンチ」を打つことができた点は、見逃せない。


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