2024年4月16日(火)

2024年米大統領選挙への道

2023年3月24日

デサンティスの「選挙戦略の問題点」

 言うまでもなく、デサンティス知事の選挙戦略の特徴は、人種と性的指向を争点にしている点にある。支持者はこれらの争点に対して感情的になり易いので、彼らを選挙に巻き込むことができるというメリットが生まれる。

 しかし、リスクが高いのも事実だ。デサンティス知事のこの選挙戦略に関して、ホワイトハウス担当のローラ・バロン・ロペス記者(米公共放送)は、「共和党予備選挙では効果的であっても、本選に入ると激戦州で機能しないかもしれない」と指摘した。激戦州は人種と民族において多様性に富んでいるので、本選では効果的ではないと言うのだ。加えて、以下の問題点も存在する。

 まず、共和党予備選挙で「反アフリカ系」「反LGBTQ」並びに「反批判的人種理論」を全面に出して戦うと、本選でトランプ前大統領の支持基盤以外の票獲得が極めて困難になると予想される。  

 次に、ジョー・バイデン大統領が24年米大統領選挙に出馬した場合、デサンティス知事の選挙戦略は同大統領にアドバンテージを与えてしまう。

 バイデン大統領は女性、アフリカ系、ヒスパニック系、若者、LGBTQから構成された「異文化連合軍」を作り、彼らの票を組み合わせて勝利する戦略をとることは明らかだ。となると、アフリカ系とLGBTQを標的したデサンティス知事の戦略は、異文化連合軍のメンバーであるアフリカ系および若者とLGBTQの反発を招く。彼らの票獲得において、バイデン大統領を助ける結果を導く。

「領土紛争発言」の意図は?

 デサンティス知事は米FOXニュースの司会者タッカー・カールソン氏のアンケート調査に対して、「ウクライナとロシアの領土紛争に巻き込まれるのは、米国の国益とは言えない」と答えた。この回答に関して共和党の重鎮リンゼー・グラム上院議員(南部サウスカロライナ州)、マルコ・ルビオ上院議員(南部フロリダ州)やマイク・ペンス前副大統領などが、「(ウクライナとロシアの戦争は)領土紛争ではなく、ロシアによる侵略戦争である」とデサンティス知事を厳しく批判した。

 加えて、米メディアもデサンティス知事の「領土紛争発言」を取り上げた。例えば、米ABCニュースのジョナサン・カール記者は、「デサンティス知事は(侵略戦争を否定する)プーチン大統領と同じ考えだ」と述べた。米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは、「デサンティスの最初の大きな誤り」であると指摘した。

 ただし、デサンティス知事の「領土紛争発言」も、選挙戦略の1つである点は看過できない。これもウクライナ支援に否定的なトランプ前大統領の支持基盤を狙ったものである。


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