2024年12月27日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2023年4月3日

 推測の域を出ないが、習近平は西側に対する共通の憤りを軸とするロシアとの連携の確認・強化を今回訪問の一義的目的に据えたのだろう。プーチンを政治的・経済的に支えることを明確にすることで、プーチンを満足させたように思われる。

 3月22日、習近平のロシア訪問の意義を外相の秦剛がメディアに説明しているが、彼は「今日の世界の主たる矛盾はいくつかの諸国が言い募っている『民主主義と権威主義』の対決にあるのではなく、むしろ発展と発展の封じ込めの闘争にある」として、それ故にこそ中国とロシアが戦略的調整を強化することに価値がある、と述べている。

 この発言が「米国に率いられる西側諸国はわれわれを全面的に封じ込め、抑圧し、そのことが我々の発展に前例のない厳しい試練をもたらした」との3月6日の習近平の全国政治協商会議における発言の延長線上にあることに疑いはない。

偽りの調停者、中国

 ウクライナ戦争については、共同声明の該当部分の英訳が中国外交部のウェブサイトに掲載されているが、それは、国連憲章の順守を言いながら、ロシアの侵略を放置して中国がロシアの陣営にあることを印象付ける一方、中国が偽りの調停者であることを示すものである。

 戦況が膠着したまま推移すれば、中国は現在の立場を維持し得ると思われ、中国はそれが中国の利益にかなう選択だと考えるであろうが、ロシアが屈辱的敗北でなくとも劣勢に立つ場面を想定し得る状況に変化すれば、中国は改めて決断を迫られるであろう。

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