「クロマグロがなくなる」と言われてピンとこない背景には、メバチマグロやキハダマグロなど、クロマグロ以外の魚種が多く出回っている他にこうした事情があるが、このモデルに持続性がないのは明らかである。
境港で水揚げされたクロマグロに貼られているステッカー
2ページ目の写真は境港で水揚げされたクロマグロだが、魚体には黄色いステッカーが貼ってある。拡大したのが右の写真だ。右側に「産地として、本マグロの資源管理に取り組んでいます」と記載があり、鶴田さんは「いい加減にしてもらいたい」と怒りを露わにする。
現在、境港の漁獲枠(30キロ以上のクロマグロ)は年間2000トン。昨年600トンの水揚げであったことを勘案すると、漁獲枠は意味をなしていない。境港の属する山陰旋網漁業協同組合は「漁獲枠は最盛期よりは少ないので管理していると言える。巻き網を『根こそぎ獲る』と捉えるか、『効率良い』と捉えるかは立場の違い」と話す。
境港の例は氷山の一角である。「日本は世界最高クラスの漁場があるのになぜこんな惨状なのか」(マグロ輸入業を営むビル・コートさん)と外国人も首を傾げる日本の漁業。資源管理の本格化が急がれる。
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◎クロマグロ一網打尽 世界中でウナギ乱獲
◎初の本格的資源管理 佐渡甘エビ漁の挑戦
◎漁業改革 やることは決まっている 勝川俊雄(三重大学生物資源学部准教授)
*関連コラム:日本の漁業は崖っぷち(片野 歩)
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