2024年11月22日(金)

韓国の「読み方」

2023年4月14日

 一部報道では、米韓連合司令部とNATO軍司令部の指揮統制(C4I)システムを連携させ、米軍主導で米韓連合司令部とNATO軍司令部による共同作戦が可能な基盤を構築するのではないかとの観測が提起された 。今年1月にストルテンベルグNATO事務総長が訪韓した際にも、「相互運用性の向上」について再度確認されている。

協力一辺倒ではない側面も

 ところが、韓国軍の元将官に一連のNATOとの関係強化の流れについて話を聞くと、「国防部は対北抑止力向上のために自国の戦力向上と米軍との連携強化で精一杯で、とてもNATOとの連携にまで考えが及んでいないのではないか」との答えが返ってきた。筆者の見立てでは、外交安全保障戦略の方向性をめぐって、大きな枠組みで安全保障戦略を描く国家安保室と、個別の政策を遂行する外交部と国防部との間でズレが生じる場面があるのではないか。

 日韓関係を巡っても、徴用工問題解決のために被害者団体の対応の矢面に立たされた外交部と、日韓関係改善を目指す国家安保室との間で明らかな温度差が見受けられた事例を思い起こす。最近行われたNATO外相会合では、日本から林芳正外相が参加したのに対して、韓国からは外交部第2次官が派遣された。これまでの韓国側の積極性がトーンダウンしたようにも見えなくもない。

 いずれにしても、わが国もNATOとの関係強化を図っており、昨年6月のNATO会議以来、豪州・ニュージーランド、そして韓国を加えた4カ国(AP4:アジア太平洋パートナー)とNATOとの関係は今後も深化していくものと考えられ、韓国の対NATO協力の動きを注視し、韓国の意図を的確に掴み、米国をはじめとする友好国との歩調を合わせる必要がある。3月16日の日韓首脳会談を契機に復活した日韓両国の外務防衛当局による日韓安保対話で確認すべきポイントであろう。

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