バイデン陣営の鍵を握る2人
バイデン大統領は選挙スタッフも発表した。選対の要となる選対本部長は、ホワイトハウス上級顧問のジュリー・チャベス・ロドリゲス氏(45)が務める。メキシコ系米国人女性のロドリゲス氏は、労働組合の幹部で、農場労働者のリーダーであったセザール・チャベス氏の孫である。祖父の影響を受けて、彼女も労働者の権利を主張してきた。
ロドリゲス氏は、20年米大統領選挙においてバイデン陣営の選対副本部長であった。同氏はバイデン選対のヒスパニック系スタッフの中で、最も高い地位に就いた。20年民主党大統領候補指名争いでは、ロドリゲス氏はハリス陣営の全国政治部長を務め、カマラ・ハリス候補(当時)が撤退するまで、一緒に全国を回った。
一方、選対副本部長は18年中西部イリノイ州知事選でJ・B・プリッカー知事(民主党)の選対副本部長、22年米中間選挙ではラファエル・ワーノック上院議員(民主党・南部ジョージア州)の選対本部長を務めたクエンティン・ファルクス氏(33)になった。ファルクス氏は黒人男性である。首都ワシントンにあるアメリカン大学の修士課程で、選挙に焦点を当てて研究を行ったという。
ワーノック選対でファルクス氏は、約2億ドル(約274億円)の予算と、1000人以上のスタッフのマネジメントをして、ワーノック上院議員を再選に導いた。バイデン大統領率いる民主党は、同議員の再選により上院で議席を伸ばし、多数派を維持できた。同党にとって決選投票にお
ジョージア州における民主党上院議員の再選は、30年以上の出来事であった。同州ではサム・ナン元上院議員が1990年に4期目の当選を果たしている。バイデン大統領は、ヒスパニック系と黒人を選対のナンバー1と2に置いた。この人事から読み取れることは、バイデン氏は来年の米大統領選挙で、ヒスパニック系と黒人および、労働者の票獲得に時間とエネルギーを注いで、異文化連合軍の強化を図るということだ。
オバマ元大統領も再選を果たした選挙で、ヒスパニック系を含めた異文化連合軍の票を最大限に獲得する戦略に出た。バイデン大統領は、すでにオバマ再選戦略を手本にして戦っている。