価格設定が難しい日本ならではの事情
日本の場合は、こうした「10倍から20倍の価格差」を設けるのが難しいようだ。その結果として、公演・興行として売上を最大化できないので収支面で苦しむということが起きる。
何よりも、需要・供給・価格がバランスしていないので、そこが違法な転売屋に付け込まれるスキとなっている。祭事や伝統芸能に関しては、収益が最大化できないので存続が危ぶまれることもある。
それもこれも、「高価格=悪いこと」という偏見が元凶と言えるだろう。拝金主義への反省は必要だし、悪どい金儲けを批判するカルチャーは健全なものだ。だが、常識の範囲を超えて、「高価格」や「価格差」を悪と決めつけるのは行き過ぎであり、この点を克服しないと日本は貴重なカルチャーの伝統を失うことにもなりかねない。
阿波踊りの場合だが、この1万5000円の席は売れ行きが好調なようで、その後、超VIPシートとして「桟敷席」を設置する検討もされているという。飲食や土産なども含めたパッケージで、「1グループで24万円」という価格帯という。
価格としても妥当な範囲と思うが、一部のメディアは早速「見る阿呆重視の仰天プラン」だとか「誰が買うのか」などとネガティブな報道を始めているという。何とも困った話である。