学生ローン返済免除を望む黒人とヒスパニック系
ところが白人と異なり、黒人とヒスパニック系は、学生ローン返済の一部免除を無効とした連邦最高裁の判決を支持していない。
周知の通り、米国の私立大学の授業料は非常に高い。例えば、ハーバード大学は年間(23~24年)の授業料が、5万4269ドル(約747万円)である。これに生活費などを加えると、合計7万9450ドル(約1090万円)、4年間で31万7800ドル(約4370万円)になる。
エコノミストとユーゴヴの共同世論調査では、「大統領は連邦政府の学生ローン返済を免除する権限を持つべきか」という質問に対して、74%の黒人と59%のヒスパニック系が「権限を持つべき」と回答した。一方、白人は33%であり、黒人よりも41ポイント、ヒスパニック系よりも26ポイントも低かった。
さらに、「連邦政府が最大で1万ドル(約140万円)まで連邦政府の学生ローン返済を免除することに賛成か、反対か」という質問に、58%の黒人が「強く賛成」、18%が「いくらか賛成」と答え、「賛成」の合計が76%に上った。ヒスパニック系は41%が「強く賛成」、19%が「いくらか賛成」と回答し、「賛成」の合計が60%に達した(図表2)。
これに対して、白人は30%が「強く賛成」、13%が「いくらか賛成」と回答し、「賛成」の合計が43%であった。黒人に対して33ポイント、ヒスパニック系に17ポイント低い。
黒人とヒスパニック系は、大学入試における「人種の考慮」よりも、「学生ローン返済の一部免除」を望んでいると言える。