2024年12月15日(日)

2024年米大統領選挙への道

2023年7月15日

24年米大統領選挙への影響

 バイデン大統領は20年米大統領選挙において、女性、黒人、ヒスパニック系、若者並びにLGBTQIA+(性的少数者)から構成された「異文化連合軍」の票で勝利を収めた。24年大統領選挙では、ヒスパニック系を選対本部長、黒人を選対副本部長にして、異文化連合軍の強化を図っている。

 黒人とヒスパニック系は、再選を狙うバイデン大統領にとって、異文化連合軍の極めて重要なメンバーである。学生ローン返済の一部免除を無効とした連邦最高裁の判決に落胆した彼らの士気を高めるために、バイデン大統領は他のやり方で金融支援をすることが不可欠である。学生ローン返済の一部免除は、黒人とヒスパニック系の票に直結するからだ。

 一方、ドナルド・トランプ前大統領は、「大統領は連邦政府の学生ローン返済を免除する権限を持つべきではない」と考える79%の共和党支持者に対して、「連邦最高裁の判決は正しい」と訴えることは間違いない。

 また、「大学入試において志願者の人種を考慮すべきではない」と回答した87%の共和党支持者に、自分が指名した3人の保守派の連邦最高裁判事が、違憲の判決を下したと強調して、自分のクレジット(手柄)にするだろう。

 トランプ前大統領は、24年米大統領選挙においてもキリスト教福音派や、白人至上主義者を含めた白人中心の「単一文化連合軍」の票獲得に時間とエネルギーを注ぐ可能性が高い。上の2件の連邦最高裁判決は、単一文化連合軍に対してアピールするための好材料になることは確かだ。

 連邦最高裁は昨年6月24日、人工妊娠中絶容認を覆した。このときの判決は、民主党支持者の士気を高め、中間選挙でバイデン大統領に有利に働いた。しかし、今回の学生ローン返済の一部免除措置「無効」の判決は、明らかにバイデン大統領にマイナス要因である。24年米大統領選挙において同大統領の本当の敵は、連邦最高裁になるかもしれない。

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