性交や避妊といった言葉も
専門用語という共通認識に
6月30日、小誌記者は富山市立北部中学校を訪れ、産婦人科医の鮫島梓氏による「思春期講演」を聴講した。
「女性は30歳を過ぎると妊娠できる確率がぐんと下がります。いつか子どもがほしいと思ったときのために頭の片隅に置いておいて」
「コンドームのつけ方が分からない人は『コンドームの達人』というサイトを見ておくこと」
約50分間の授業では、思春期の心とからだの変化や性交、避妊、妊娠、中絶、性感染症予防などかなり踏み込んだ内容にも話が及び、約140名の生徒の中には、最初は恥ずかしそうな態度を見せる生徒もいたが、次第に真剣に耳を傾けていく様子が印象的だった。
同校の牧勇人校長は「性に関する話を躊躇する教員もいますが、性交や避妊といった言葉も専門家から医学的に話していただくことで、教師と生徒の間で『いやらしい言葉』ではなく『専門用語』だという共通認識に変わります。生徒たちと性のトラブルに関するコミュニケーションがとりやすくなるのは講演のメリットです」と話す。また、鮫島氏は「困ったときにはすぐに相談をしてほしいという思いを伝えたかった。義務教育の場で真面目に性について話す基盤をつくることが重要で、教師と医師が役割分担をして、生徒の『駆け込み寺』になれれば」と述べる。
再び種部氏は言う。「18歳まで学校教育で『性』に蓋をしておきながら、18歳を過ぎた途端に『少子化に対処せよ』となるのは論理的に考えておかしなことです」。
18歳を境に途端に手のひらを返すようなことをしていては、大人や政治に対する子どもの不信感は増すばかりだ。性教育のあり方にもこれまでとは〝次元の異なる〟政治のリーダーシップが問われているのではないか。