2022年10月3日(月)

未来を拓く貧困対策

2022年9月2日

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大山典宏 (おおやま・のりひろ)

高千穂大学人間科学部教授

1974年生まれ。社会福祉士。日本社会事業大学大学院福祉マネジメント研究科修了。福祉事務所や児童相談所での相談業務、生活保護利用者の自立支援事業の企画運営等の行政経験を経て、現職。著書に『隠された貧困』(扶桑社新書)『生活保護vs子どもの貧困』(PHP新書)『生活保護vsワーキングプア』(PHP新書)など。

 家族の世話を担う子ども「ヤングケアラー」が、困窮世帯では4人に1人、生活保護世帯に限れば4割に達していた。調査は、埼玉県で学習支援事業に取り組む民間団体が、支援している子どもたちから直接聞き取った。

(Hakase_/gettyimages)

 全国調査では20人から25人に1人、なぜ困窮世帯にヤングケアラーが多いのか。そして、彼らはどんな支援を求めているのか。現場をみていくと、一筋縄ではいかない現実がみえてくる。

困窮世帯の4人に1人、生活保護では4割に

 2022年8月24日、朝日新聞は全国版生活面の大部分を割いて、ヤングケアラーの割合が困窮世帯で際立って多い事実を報じた。同記事は、7月に報じられたデジタル版が基になっている(朝日新聞デジタル、2022年7月15日)。筆者も調査した民間団体から聞き取りしており、朝日新聞の報道を深掘りする形で実態をみていきたい。

 まずは、最近よく耳にするヤングケアラーの定義から確認していこう。一般に使われているのは、一般社団法人日本ケアラー連盟が定義したものである(下図)。

 厚生労働省も、特設ページにおいて連盟の定義を使用している。すなわち、「家族にケアを要する人がいる場合に、大人が担うようなケア責任を引き受け、家事や家族の世話、介護、感情面のサポートなどを行っている18歳未満の子ども」のことをいう。

 ヤングケアラーの実態調査は、埼玉県をはじめとするいくつかの自治体がすでに行っている。また、厚生労働省が実施した初の全国調査では、世話をしている家族がいると答えたのは中学2年で5.7%、高校2年(全日制)で4.1%であった(厚生労働省「ヤングケアラーの実態に関する調査結果について」)。おおむね20人から25人に1人という結果である。

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