エルドアン氏は「友人であるプーチン氏が〝人道の架け橋〟の継続を望んでいる」と調停への意欲を表明。同氏を8月にトルコに招待しており、直談判で合意再建を説得する構えだ。だが、エルドアン氏は「西側が行動を起こさなければならない」とも指摘しており、プーチン氏の意をくんで欧米に譲歩を迫る場面が出てくるかもしれない。
ロシアとトルコに吹く〝すきま風〟
両者はこれまで、権威主義的な手法が似通っていることや米国の覇権に反対であることなどからウマが合い、蜜月関係を構築。トルコは西側のロシア制裁にも加わらず、一線を画してきた。しかし、エルドアン氏がスウェーデンの北大西洋条約機構(NATO)加盟を容認したこと、ウクライナにトルコ製ドローン工場を建設、稼働させたことなどから両者に〝すきま風〟が吹き始めた。
特に捕虜交換でトルコに引き取っていたウクライナ軍アゾフ大隊の司令官らをウクライナに送還したことでエルドアン氏への不信感が生まれた。アゾフ大隊はロシアにとってネオナチやテロリストの象徴。司令官らが「戦場に戻る」と発言したこともロシア側を激怒させた。ロシアでは「トルコは中立国から非友好国に変わった」(議会幹部)との見方が広がっている。
ロシア大統領府のペスコフ報道官は最近、トルコが西寄りに傾いている点について「欧州では誰一人、トルコが欧州の一員になるのを見たくない。ロシアのパートナーであるトルコは幻想を持つべきではない」と微妙な言い回しでエルドアン氏をけん制してみせた。