2024年4月15日(月)

プーチンのロシア

2023年7月19日

 ロシア軍によるウクライナ東部クラマトルスクへのミサイル攻撃で負傷したウクライナの著名作家、ビクトリア・アメリーナさんが7月1日、37歳の若さで死亡した。小説家、児童文学作家などとして国際的にも知られつつあったアメリーナさんは、ロシアによる全面侵攻が始まって以降、その戦争犯罪を調査するエキスパートとしても活動していた。東部でロシア軍の占領下にあった地域では、ロシア軍により銃殺された著名ウクライナ人作家の隠された日記を発見するなど、民間人の立場にいながらロシアの戦争犯罪を次々と発見、告発していた。

ロシアによるミサイル攻撃で死亡したアメリーナさん(ロイター/アフロ)

 ミサイル攻撃は一般のレストランを直撃し、民間人が多数犠牲になったが、ロシア軍幹部は〝美しい攻撃だった〟と賞賛し、ロシアの国営メディアは「ウクライナ軍施設を破壊した」と虚偽のプロパガンダを吹聴した。しかしそのような虚偽を主張すればするほど、ロシアの欺瞞が浮かび上がり、彼女の死と相まって、国際社会にその異様さを見せつけている。

「美しい攻撃」の実態は民間人虐殺

 「クラマトルスクへの攻撃は、実に美しかった。計画を練ったものに対し、私は深く頭を垂れたい。これは攻撃というより、歌のような(美しい)ものだった。古い軍人である私の心臓は、躍った」

 6月27日に、クラマトルスクのレストランを破壊したミサイル攻撃をめぐり、ロシア軍幹部は国営テレビの番組でこう賞賛してみせたという。攻撃発生直後から、ロシアの政権寄りの識者らは「傭兵部隊を襲ったものだった」と吹聴し、攻撃翌日の28日にはロシア国防省は、「ウクライナ地上軍の臨時本部に対して実施された。ウクライナの大将2人、将校50人、傭兵20人が殺害された」などと主張した。

 しかし、実際にはミサイルが着弾したのは、前線にあるクラマトルスクに残された数少ない人気レストランだった。攻撃発生時、店は客であふれ、家族連れを含めた多くの市民らがひとときの食事を楽しんでいた。

 そしてミサイル攻撃により、少なくとも13人が死亡、60人以上が負傷する大惨事となった。子どもの犠牲者もいたという。

 現地での聞き取り調査でも、ロシア軍が主張するような軍事施設や外国からの〝傭兵〟らがいた事実は確認されなかった。いたのは、南米コロンビアから来ていたというジャーナリストや人権活動家らの一団だった。そして彼らをガイドしていた人物こそが、アメリーナさんだった。

 ジャーナリストらは軽傷で済んだが、彼女は重傷を負った。緊急搬送されたが、7月1日に現地の病院で息を引き取った。


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