2024年5月10日(金)

日本の漁業 こうすれば復活できる

2023年7月26日

幼魚を獲ってしまうことで起きること

 カタクチイワシやイカナゴといった小さな魚は、人間だけでなく、他の魚にとっても重要なエサとなっています。獲りすぎて資源を減らしてしまえば、生態系全体に悪影響を与えてしまいます。資源管理はエサとして大きな魚に食べられる数量も考慮して、人間が漁獲できる数量を算出する必要があります。

カタクチイワシ(左)とイカナゴ(右)の幼魚(筆者提供)

 ところがわが国では、未だにカタクチイワシにもイカナゴにも、国が決めた科学に基づく漁獲枠さえありません。このまま小さい魚を獲り続ければ、資源は確実に減っていきます。

 国連持続可能な開発目標(SDGs)14(海の豊かさを守ろう)では、2020年までに水産資源を回復させるはずでした。しかし、回復どころかさらに魚が減り続けているというのが日本の現実です。

 なぜこんなことになっているのか? 国は国際的に見て遜色がない資源管理に舵を切ろうとしています。ところが、国民の大部分が、魚が減った本当の理由、つまり「科学的根拠に基づく資源管理が行われていない」ことに気付かないと、改革は進まず資源の悪化だけが進んでしまうのです。

 だから、皆さんに魚が減った本当の理由に気付いていただき、資源管理に関する世論を魚が残っているうちに、変えていきたいのです。

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