日本のイカナゴ漁獲量は、各地で絶滅に近い状態になっています。ところが、イカナゴが獲れなくなった原因は「海水温上昇」や「水がきれいになり過ぎた」といった理由が挙がり、一般的にはそう信じられているようです。環境の変化はもちろん資源量の増減に影響を与えます。
しかしながら、海水温上昇が原因なら、なぜ10年前の13年に北に位置する陸奥湾でほとんどイカナゴがいなくなって禁漁になり、その後、陸奥湾より南に位置する大阪湾や伊勢・三河湾で漁が減ったり、禁漁になっているのか?
また、13年当時、陸奥湾でイカナゴがいなくなった理由は、「水温の上昇」ではなく、「水温の低下」となっていました。時系列順に並べると、矛盾が生じ乱獲で資源をつぶしてしまったという理由が棚上げされて、環境の変化に責任転嫁されてきたかよくわかります。
上の写真は、日本のイカナゴの幼魚と成魚(オオナゴ)です。生まれたばかりの幼魚が、くぎ煮や干物になって売られています。
イカナゴの成魚は写真のように20センチを超えます。重量も幼魚と親魚ではかなり違います。同じ重量の漁獲量であっても、その中の尾数には物凄い違いがあります。成魚になる前の幼魚を大量に獲ってしまえば「成長乱獲」が起こり、例外なく資源が減ってしまうのです。
日本の禁漁の場合……
下のグラフは、秋田県も含むハタハタの漁獲量推移です。同じ禁漁でも、日本の場合は、国連食糧農業機関(FAO)が唱える「予防的アプローチ」がなく、本当に獲れなくなってから禁漁するケースがほとんどです。
よく成功例として秋田のハタハタの禁漁が挙がります。しかしながら、1992年から3年間禁漁した後に一時的には漁獲量回復したものの、60~70年代には1万~2万トン漁獲されていたのが、今ではわずか数100トンしかありません。
伊勢湾のイカナゴも2023年で8年間禁漁していますが、試験操業では1匹も獲れていません。これらは、共に資源管理が出来ていると言われていましたが、結果が伴っていません。