2024年11月22日(金)

チャイナ・ウォッチャーの視点

2013年8月22日

 8月20日、日本の各メディアは、前日の19日夜、日本の岸田外務大臣が、韓国のイ・ビョンギ大使と会談し、首脳会談の実現も視野に関係改善を行う必要があるという認識で一致した、と報じている。日韓両国が首脳会談の実現に向かって動き出している中、日中間でも今後、首脳会談実現の道を模索するような動きが加速するであろう。

 その際、本来なら今年の5月に開催される予定だったが延期のままとなっている、毎年恒例の日中韓三カ国首脳会談が年内に実現されるはずだ。今年のホスト役を務める韓国としては、これ以上の延期をしたくないし、韓国がホスト役であれば、中国の首脳も参加しやすい。そうなると、おそらくこの三カ国首脳会談の場こそが、去年9月の尖閣国有化以後、日中両国の首相が顔を合わせて同じテーブルで対話をする最初の場面となる公算であろう。そしてそれが、その後の日中両国の首相同士の会談実現につながるかもしれない。

 とにかく、このような段階的な首脳会談の実現をもって、ある程度の関係改善を図っていくシナリオは今後、ますます現実味を帯びてくるのではないかと思う。

 もちろん、筆者が前述の『WEDGE』9月号でも指摘しているように、今の時点では、中国政府の考える関係改善はあくまでも「首相同士の実務協議」にこぎ着けるまでの「限定的な関係改善」でしかない。国家元首の習近平国家主席が自ら乗り出して行おうとするような本格的な関係改善は未だ考えにくい。中国は「尖閣問題」での日本との対立から降りるようなこともまずない。日中両国が貿易関係の促進やその他の経済交流の拡大などの面において協力関係を強化していきながら、「尖閣問題」に関する政治的対立はむしろ長期化していくのではないかと筆者は思うのである。 

[特集] 習近平と中国 そして今後の日中関係は?


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