間伐は両刃の剣
専門家が森林施業と呼んでいる森林の取り扱い方法の中で、森林を目標とする形にもっていくための、最も有力なツールが間伐である。しかし、間伐はやり方の良し悪しによって見事な美林にすることもできるし、無残なボロ山にしてしまう危険もはらんでいる。
気安く間伐と言うけれど、間伐は両刃の剣であり、慎重に実行する必要がある。そのためのポイントを最後にあげておこう。
①間伐と無間伐
まず何のために間伐をするのか熟慮する必要がある。林木を太くしたい、通直な林木を揃えたい、年輪を揃えたい、不良木・劣勢木等をなくし優良木だけを揃えたい、下層植生を豊かにしたい――。
どれを目的とするかは森林所有者・経営者次第であるが、明確な目的を持たないのなら無間伐でも十分である。間伐実行で生じる多くのリスクを考えれば、無間伐が無難である。
②選木(間伐調査)
森林所有者・経営者が自分で選木するのがベストで後悔しない。技術的・道義的に信頼できる人や業者がいれば委託もあるだろう。調査が終わった時点で、適正な選木ができているか現地で確認することが大事である。
③間伐作業
これも自伐でなければ、技術的・道義的に信頼できる業者に頼むしかない。信頼に不安があれば、作業中に抜き打ちで検査する必要がある。
間伐木を立木で売った場合は、選木された木だけを伐っているか、伐採搬出請負ならば、抜け荷がないか、搬出された丸太が販売先に届いているか確認する必要がある。
『Wedge』2010年9月号特集「日本の林業『孤独死』寸前」に同誌の林業に関する記事を加えた特別版を、電子書籍「Wedge Online Premium」として、アマゾンや楽天ブックスなどでご購読いただくことができます。