2024年11月22日(金)

2024年米大統領選挙への道

2023年8月31日

「裁判引き延ばし」戦略の失敗

 米ワシントン連邦地方裁判所のタニア・チャトカン判事は、20年米大統領選挙の結果認定の手続きを妨害した罪などで起訴したトランプ前大統領の初公判を、24年3月4日に設定した。

「スピード裁判」を求めるジャック・スミス特別検察官は同年1月2日を、「裁判引き延ばし」戦略を立てたトランプ氏弁護団は26年4月を、それぞれ初公判の日として裁判所に提案した。

 チャトカン判事は、トランプ氏弁護団の裁判引き延ばし戦略を認めなかった。ではトランプ初公判は、共和党予備選挙にどのような影響を与えるのだろうか。

トランプ初公判と選挙への影響

 トランプ前大統領の初公判の翌日5日は、予備選挙と党員集会が集中する「スーパーチューズデー」である。各候補は、スーパーチューズデーに代議員数を稼ぐので、この日は大統領候補指名争いの山場になるといわれている。

 スーパーチューズデー前日の初公判は、トランプ前大統領に不利に働くのか。必ずしもそうとは言い切れないだろう。

 逆に、MAGA支持者(Make America Great Again:「米国を再び偉大にする」運動に参加するトランプ支持者)の結束を一層高めるかもしれない。また、トランプ前大統領が予備選挙の序盤戦である中西部アイオワ州、東部ニューハンプシャー州、西部ネバダ州並びに南部サウスカロライナ州の4州で勝利を収めれば、初公判の日程がスーパーチューズデーに与える影響を最小限に抑えることができる。

 ただし、トランプ前大統領が上の4州のうち、2州ないし3州でつまずくと、スーパーチューズデーの重要性が増す。仮にそうなった場合、トランプ初公判のニュースを重く受け止めた共和党支持者の一部が、世代交代や代替者を求めるかもしれない。

 民主党のジェリー・コノリー下院議員(南部バージニア州第11選挙区選出)は、米国民は南部ジョージア州に加えて、トランプ初公判と、24年5月20日に開かれるトランプ前大統領の機密情報持ち出しに関する連邦レベルの裁判も観る権利があると主張する。コノリー下院議員は約30人の議員らと一緒に、トランプ裁判の生中継を求める署名運動を起こした。

 コノリー下院議員らは、トランプ裁判が生中継されれば、刑事被告人であるトランプ前大統領が行った多くの不正行為を有権者に印象づけることができるとみているのだろう。本選で民主党大統領候補が、無党派層、郊外に住む女性並びに共和党穏健派の票を獲得し、選挙戦を有利に戦えると計算しているのだ。


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