2024年5月20日(月)

「永田町政治」を考える

2023年9月3日

 旧日本社会党が初めて政権に就いた時、村山富市内閣に故田中角栄首相の長女、真紀子氏が一年生議員ながら科学技術庁長官として初入閣したケースなども記憶に新しい。田中氏はその後、第1次小泉内閣で女性初の外相に起用されるが、数々の奇矯な言動で途中罷免され物議をかもした。

平安時代と変わらぬ風景

  さて、枕草子に話を戻す。

 除目の日の夜も更け、明け方になっても吉報は届かず、屋敷の中も静まりかけてきた。不審に思った一人が召使におそるおそる尋ねてみると、「殿は某国の前司になられました」。「前司」は前の国司のこと。

 現代風に言えば、「ウチの先生は前〇〇大臣です」といったところか。

 それを聞いた人たちはにわかに興ざめがして、一人、二人と屋敷を去っていく。清少納言は「いとほしう、すさまじげなり」と表現する。

 側近、後援者らに囲まれモーニングなど用意していたにもかかわらず、ついに待ちぼうけをくった議員、それを取り巻く人々の様子と何と似ていることか。1000年前のエッセーがいまなお色あせぬことにただただ驚く。    

 現代の「除目」ともいうべき内閣改造。「末は博士か大臣か」という言葉は死語になってしまったが、それでもなお、国民の関心は高かろう。冒頭に紹介した読売新聞の調査からも明らかだ。どんなドラマが演じられ、だれが新しいポストを射止め、だれが「前司」となるのだろう。(一部敬称略)

   
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