2023年9月24日(日)

#財政危機と闘います

2023年6月16日

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島澤 諭 (しまさわ・まなぶ)

関東学院大学経済学部教授

富山県生まれ。1994年東京大学経済学部卒業 同年4月経済企画庁入庁。調査局内国調査第一課、総合計画局計量班、調査局国際経済第一課等を経て2001年内閣府退官。02年秋田経済法科大学経済学部専任講師、04年10月秋田大学教育文化学部准教授。15年4月から中部圏社会経済研究所研究部長を経て、22年4月より現職。

 政府は、きょう16日に「経済財政運営と改革の基本方針2023」、いわゆる「骨太の方針2023」を閣議決定する方針だ。昨年の「骨太の方針2022」では防衛費の増額が注目されたが、今年は岸田文雄内閣の目玉政策である「異次元の少子化対策」が盛り込まれた。

「骨太の方針」に盛り込まれた「異次元の少子化対策」に関する政策の財源はどう捻出するのか(代表撮影/ロイター/アフロ)

 具体的には、児童手当の拡充や出産などの経済的負担の軽減、男性育休の取得促進、親の就労を問わない「こども誰でも通園制度(仮称)」の創設等が盛り込まれた。ただし、こうした3兆円台半ばともいわれる施策のための財源をどう確保するかについては、具体的な議論は年末に先送りされる見通しとなった。

 これは、防衛費拡充の時と同じ流れで、まずは防衛費の増額が骨太の方針に書き込まれたが、財源については年末に先送りされた。昨年は第26回参議院議員通常選挙が直後に控えていたことも影響したのだろう。

増税も実質負担増もなし

 「異次元の少子化対策」の財源に関しては、経済財政諮問会議とは別の会議体であるこども未来戦略会議が今月13日に出した「こども未来戦略方針」案が参考になる。すなわち、同戦略方針案では、岸田文雄首相の方針に従い「消費税などの増税は行わない」とし、増税議論は封印している。

 さらに、具体的な意味合いは不明なものの「国民に実質的な追加負担を生じさせないことを目指す」方針ともしている。いったい、岸田首相は増税も行わず、実質的な国民負担増もなく、どうやって3兆円台半ばにおよぶ財源を捻出するつもりなのだろうか。


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