取材の冒頭、記者に対して「お声掛けはありがたいのですが、記事にしていただくようなことではありませんから」と話した丹治部長。後半には「もちろんうちの会社だけではなくて、多くの建設会社が対応しましたよ」と、どこまでも謙虚だった。
家畜伝染病の発生時に
存在が不可欠な〝関係団体〟
「今日はまだ涼しくて良かったですね。昨日だったら溶けていたと思いますよ」
来年から新たな一万円札の「顔」となる渋沢栄一の生まれ故郷、埼玉県深谷市で小誌記者を笑顔で出迎えてくれたのは、古郡建設の渡辺文昭デザインマネジメント部長。畜産業が盛んな同市でたびたび発生するのが、豚熱(旧称:豚コレラ)や鳥インフルエンザなどの家畜伝染病である。
「理由は分かりませんが、なぜか『週末』に起きることが多いんです」。取材に応じてくれた38年目のベテラン、小林重倫工事長は真面目なトーンで話し始めた。台風であれば、事前に進路を予測して準備できるが、〝その日〟は突然やってくるという。
2022年12月16日金曜日、県の保健衛生所に市内の採卵鶏農場で異常(死亡羽数の増加)が発生しているとの通報があり、家畜防疫員が立ち入り検査を実施。同日中に原因は鳥インフルエンザと判明し、翌17日の朝8時から、飼養鶏の殺処分を開始した。迅速な対応だ。だが、建設会社が出る幕はどこにあるのだろうか。
「殺処分をされた後、その亡きがらはどこにいくと思いますか?」との質問に記者が詰まっていると、「処分場で焼却するか、現地に埋めるんです」と教えてくれた。結果的に6日間で合計約19万羽もの鶏が殺処分されたが、埋めるための穴を掘る作業は建設会社にしかできない。当然、「掘る」ための準備も必要だ。
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