「Wedge」2023年9月号に掲載されている「きしむ日本の建設業 これでは国土が守れない」記事の内容を一部、限定公開いたします。
「みんなのインフラをみんなでまもる、そんな世の中にしていきたい」「〝当たり前の日常〟を守ってくれている人たちがいることをもっと伝えていく」「この取り組みを持続させ、日本のインフラを守り、世界のインフラを守る」──。
今年7月20日、一般財団法人高専インフラメンテナンス人材育成推進機構の設立記念フォーラムが京都市で開催され、産官学の垣根を越えて約130人が参加した。会場では「50年後のインフラのために、今、私にできること」をテーマに、参加者からメッセージが寄せられた。冒頭の言葉は、その原文の一部。一つひとつに熱い思いが宿っている。
同機構は現在、5つの高専─舞鶴(京都府舞鶴市)、福島(福島県いわき市)、長岡(新潟県長岡市)、福井(福井県鯖江市)、香川(香川県高松市・三豊市)─を拠点に活動を展開している。昨年度末まで福井高専の校長を務め、現在は都城高専(宮崎県都城市)校長と同機構の専務理事を兼務する田村隆弘さんは「人を育てるのには、時間もお金も手間もかかる。この財団化はゴールではなく、持続可能な活動に向けての〝第一歩〟だ」と述べた。
昨今注目が高まる「高専」は、高度経済成長期にあった約60年前に技術者の育成を目的に創設された。現在、国公立と私立を合わせて58校あり、その大半は地方都市に根差している。