いずれにせよ、酒造好適米の増産に向けて一歩前進したわけだが、時間的な余裕はあまりない。「来期の増産に向けて種籾を確保するためには、遅くとも10月までには結論を出してもらわないと困る」(コメ流通業者)という。
桜井社長(左から3人目)と、岡山市の皆さん
(撮影:編集部)
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山田錦の調達量を少しでも増やすために旭酒造の桜井社長は、兵庫県や岡山県の農家を直接訪ね歩いている。通常酒造好適米を酒造メーカーが入手する場合、地元の酒造組合に依頼するというのが一般的だが、「待っているだけでは駄目」というのが桜井社長のスタンス。
運搬手段など物理的な流通の問題があるため、農家と直接契約することはないが、地元のJA、流通業者を介して、直接訪ねた農家が生産する山田錦を調達する。そうすることによって、流通経路の透明化にもつながる。
どんな人が、どんな方法で原料米を生産しているのかが分かるということだ。ワインなどでは当然のことだが、日本酒の生産ではこれまでそれほど意識されることはなかった。世界市場でワインと戦うには、こうした点も押さえておかなければならない。
日本酒はすでに国際競争の荒海に乗り出している。農業もTPP参加を目前にして国際化をにらんだ政策転換が必要になる。
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