2024年11月22日(金)

Wedge REPORT

2013年9月25日

見事に破綻した6カ国協議の目論見

 このように各国政府が北朝鮮の核計画の現状について、公式には「まだ核保有国と言える段階にまでは至っていない」との立場を取るのに対し、国際原子力機関(IAEA)のエルバラダイ事務局長(当時)は、すでに北朝鮮が2回目の核実験を行った09年の時点で「核保有国となった」との判断を示して注目された。

 しかし、事実として明らかになってきたことは、北朝鮮がとっくに「開発」の段階を通過しすでに「製造」の域に突入したこと、すなわち核兵器を保有しているということだ。実際の保有数は「12~27個」「10個未満」「6~8個」などと世界各国の専門調査機関の見方は分かれるものの、これまで開発計画の「凍結」を北朝鮮に懸命に働きかけてきた日米韓を含む「6カ国協議」の目論見が見事に破綻したことを意味している。

 今後の焦点は、北朝鮮による核使用の「抑止」に移らざるを得ないのである。そしてより具体的には、日本そして韓国に対するアメリカの「核の傘」の信頼性強化が急がれよう。

 北東アジアをめぐる安全保障環境は実は、このようにますます悪化しつつあるのである。

 日本は「アベノミクス」の景気回復に浮かれるだけでなく、今まさに、重大な脅威となってきた北朝鮮の核の脅威にどう向き合うのか、真剣な対応が求められている。

◆WEDGE2013年10月号より










 

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