2024年6月20日(木)

バイデンのアメリカ

2023年11月7日

 また、下院民主党議員の圧倒的多数も、先月7日のハマスによる突然の大規模なイスラエル攻撃に端を発した今回の危機について、対イスラエル軍事支援を明確に支持している。

 ただ同時に、ロシアとの戦いで重要な局面を迎え、緊急に追加支援を必要としているウクライナを見捨てることには強く反対しており、この点では、上院民主党のみならず、共和党議員の多くも同じ立場をとっている。

 去る2日のイスラエル限定支援法案審議で下院民主党議員のほとんどが反対したのも、こうした事情が背景にある。

 しかしその結果、イスラエルに対する緊急支援も一時凍結となったことも事実であり、共和党保守派はこれをタテに、今後の選挙戦を通じ、民主党攻撃の材料にしていくことは間違いない。

民主党内から出る〝反発〟

 さらに、イスラエル支援をめぐる民主党の立場を一層複雑にしているのが、人道上の理由からハマス側との「即時停戦」を求める同党左派グループ、市民団体からの突き上げだ。

 先月25日には、リベラル派の在米ユダヤ人多数をも含む500人近くの市民が、下院幹部議員たちのオフィスに押しかけ、イスラエルへの「一方的肩入れ」に抗議するとともに、イスラエル軍によるガザ地区での歯止めない爆撃や銃撃で行き場を失っている無辜のパレスチナ人たちに対する人道支援と休戦を求め、騒然とした雰囲気になった。

 その後も、ホワイハウスや国務省、議員たちのオフィスには、穏健市民グループ、左派大学生などからの「バランスのとれたアプローチ」を求める電話やメールが後を絶たない状況となっている。

 議会では、進歩派として知られるバーニー・サンダーズ、エリザベス・ウォーレン、ジョン・フェターマン各上院議員らの現スタッフ、元スタッフら数百人が連名で、「即時停戦」求める公開状を出し、大きな話題となっている。

 こうした動きに対し、ホワイトハウスは、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相に対し、ガザ住民の犠牲を抑えるために、軍事作戦を一時的に限定的にとどめるなど「自制」を求めてきた。しかし、イスラエル軍によるハマス撲滅を目指した地上作戦の「停戦」は要求していない。

 このため、民主党内では、米国内のリベラル派、黒人、アラブ系などマイノリティ系有権者の不満や批判がこのまま広がっていけば、来年大統領選でのバイデン再選にも影響が及びかねないとの懸念も出始めている。

 実際に、去る10月26日発表された「ギャラップ」世論調査では、民主党有権者の間におけるバイデン支持率は、1カ月前から11%も下落して75%となり、同党関係者の間で衝撃が走ったといわれる。

 バイデン政権は、突如として勃発したパレスチナ危機で左右からの挟撃に会い、今まさに困難な〝綱渡り外交〟を迫られている。

「特集:中東動乱 イスラエル・ハマス衝突」の記事はこちら

   
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