2024年12月2日(月)

バイデンのアメリカ

2023年11月7日

 イスラエル軍によるパレスチナ自治区ガザ攻撃がエスカレートする中、米国では、共和党右派が来年大統領選に向け、バイデン政権の「弱腰対応」を批判、政争の具にする動きを見せ始めた。ホワイトハウス側は防戦に躍起となっている。

米国内でも、親パレスチナによるバイデン大統領を批判するデモが展開されている(AP/アフロ)

共和党がイスラエル支援をアピール

 「バイデンのイスラエル支持は不明確でふらついている。今こそ、わが党は民主党の弱腰外交と戦う時だ」。米大統領選の共和党候補の一人、ロン・デサンテイス・フロリダ州知事は去る10月19日、サウスカロライナ州の遊説先で、混迷深めるイスラエル・パレスチナ危機について熱弁をふるい、同党有権者に一層のイスラエル支援をアピールした。

 共和党指名争いでトップを走るトランプ候補もこれに続き、イスラエルへの熱烈な支持を寄せるキリスト教伝道派の集会で演説し、「伝道派の信者たちはみんな、イスラエルを愛している。民主党に投票する信者は誰一人いない」などと持ち上げ、バイデン政権の今回の危機に対する取り組み姿勢を批判した。

 トランプ信奉者のマイク・ジョンソン議員を下院議長に選出し勢いづく下院共和党も同月25日、今回のパレスチナ危機について、ガザ地区を実効支配する過激組織ハマス側の「残虐行為」の実態と、共和党側の明確な対イスラエル支持姿勢を民主党側と対比させた以下のような報道向け資料を急遽公表した:

1. 下院共和党の立場=残虐極まりないテロ組織であるハマスを攻撃目標としたイスラエルの戦いを一貫して支持し、マイケル・マコール外交委員長(共和)提出のイスラエル徹底支持決議案には、民主党側も含め420人以上の議員が支持表明した。
 わが党は今年に入り、米国内における反ユダヤ主義台頭非難決議案、イスラエル防衛強化のための新たな米―イスラエル間パートナーシップ法案などを支持するとともに、バイデン大統領宛に国連安保理における反イスラエル決議案に対する反対又は棄権を求める書簡を送付した。

2.ハマスの「破壊行為」(10月25日現在)=イスラエル国内の民間人、軍人含めた死者1400人以上、重軽傷4600人以上。ハマス側に人質に取られている家族222家族。イスラエル側にガザ地区側から撃ち込まれたロケット砲7000発以上。

3.民主党の「反ユダヤ、ハマス同調主義」の足跡=2021年5月のハマスによるテロ攻撃などを通じ、下院民主党は明確な対イスラエル態度表明を何度も拒否。最近のガザ地区における病院爆発騒ぎについても、パレスチナ過激グループ側の誤爆であったにもかかわらず、民主党のラシダ・タリーブ議員はイスラエル側を非難した。ハキーム・ジェフリーズ民主党院内総務は学生時代から、イスラム教指導者ルイス・ファラカン師(当時)の一連の反ユダヤ主義的発言を擁護してきた。


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