イスラエル軍のガザ地区への地上侵攻が開始された。イスラエル軍の報道官は米ABCニュースに「27日夜にガザ北部で地下トンネルを含む地下施設約150カ所を空爆し、ハマス幹部も殺害した。最適な地上作戦が展開できるよう、掃討作戦を続けている。これはまだ本格的な地上侵攻ではない」としている。
また、28日にはイスラエル軍のトップであるハレビ参謀総長が声明を出し「人質を取り戻すことは国の最優先の目標であり、私や兵士全員がその達成に向けて全力を尽くしている」と述べている。
ガザ地区地上侵攻計画の成否は、拘束されている220人ほどの人質を無事救出できるかどうかに関わっている。人質を救出するという大義がなければ、大規模なガザ地区地上侵攻計画は、単なる復讐とみなされ、イスラエルに対する国際的な非難を浴びることになりかねず、是が非でも人質の救出は成し遂げねばならないのだ。そのためにはハマスがガザ地区に張り巡らせている広大な地下トンネルの正確な地図が必要となってくる。
敵の位置を知ることは、戦闘教義(バトルドクトリン)の基本だが、同時にそれは非常に難しいとされている。今の段階ではイスラエル軍の特殊部隊がガザ地区に侵攻し、敵を発見して空爆の誘導を行っているようには見えない。地下トンネルの正確な地図を作ることは、ガザ地区地上侵攻計画の支援を行うイスラエルの諜報員にとっての急務の課題である。
解放された人質の証言
10月7日にハマスによって誘拐され、先週解放された85歳のイスラエル人、ヨチェベド・リフシッツさんは、テルアビブのイチロフ病院で行われた記者会見で当時を振り返った。
「彼らは私たちをトンネルの入口に連れていき、そこから濡れた土の上を何キロメートルも歩かされました。蜘蛛の巣のような巨大なトンネルが沢山あり、すべてが常に湿っていました。25人が入るホールのような場所に閉じ込められました。
私たちがそこに着いた時、彼らはコーランの信者であり、私たちに危害を加えることはなく、トンネル内で彼らと同じ生活条件で暮らすだろうと言いました。彼らの名誉のために言っておきますが、彼らは私たちをとても清潔に保ってくれました。
私たちは彼らと同じ食べ物を食べました。ホワイトチーズ、プロセスチーズ、キュウリが入ったピタパン(無発酵の平たいパン)です」