若い世代へのビジネスアプローチ
なおゴルフは、若者世代へのビジネスアプローチにも参考になる領域なのだ。現在、意識の高い若者の間では、ゴルフ熱が急騰している状態だ。これはSNSの進化や「インスタ映え」の影響もあり、手軽に非日常が味わえて、ビジュアル的に分かりやすく共有しやすい趣味の市場が、伸長していることが背景にある。
大自然の中で可愛いゴルフウェアなどを披露できる、おあつらえ向きのスポーツになっているのである。
これは筆者の私見であるが、一定の娯楽の形は、昭和の時代に完成していた。高度経済成長を支えた企業戦士(男性サラリーマン)が中心だった時代、人気を博したゴルフにスキー、ボーリングや競馬といった娯楽は、人々の心を捉えるものとして既に洗練され切った仕組みを実現していたのだ。
ただ、当時はターゲット層がそこであったからこそ、「昭和風で、ダサい」イメージが定着してしまったこともある。だからこそ、若者世代向けにイメージを刷新し、洗練させることで、再度、落ち込んだ市場を拡大できる潜在力を秘めているのだ。
ゴルフについては、PGMやアコーディアといったビジネス強者がまさにそこを実現し、また、競馬も「ウマ娘」の影響などで、若者世代への人気が復活してきている。他にも、「昭和に完成されたが、イメージが古臭いもの」に眼を向けることで、新たなビジネス領域の開拓に繋がるかもしれないわけだ。
堅苦しく古臭い「名門」ゴルフコースに飽き飽きした、若めの経営者たちは、東京クラシックやイーグルポイントといった、規律が緩く気楽に楽しめる、今風なデザインのゴルフコースを多く好んでいる。温故知新、リバイバルして洗練させるということを、ゴルフ市場は先行して実現しており、自社の領域にも参照できる部分が多々、あるであろう。
若者向けの社交ツールとして最高の「ゴルフ」という武器を、ぜひ皆さんにも一層深掘りしていってもらいたいものだ。