2024年6月14日(金)

古希バックパッカー海外放浪記

2024年1月28日

経済再建は外国資本への身売りしかないのか

 12月19日。メリッサの漁港で漁協幹部の恰幅がよく威勢のよい御仁が話しかけてきた。曰く、スリランカは政府の無策で経済は過去最悪。舶用軽油(marine diesel)がリッター当たり200円に高騰。インド洋で一週間マグロ・カツオ漁に出漁すると、6トンの燃料を消費する。金額的には120万円。売れる魚の大半は氷詰めにしてコロンボに送るが人件費までカバーできないことが多い。政治家や役人は産業政策に興味がなく専ら私腹を肥やすことばかり考えていると舌鋒鋭く批判。

 現在は義務教育を終えても仕事がない。政府は職業訓練学校への予算を確保して、義務教育終了後一定期間内に就業していない若者を強制的に職業訓練させるという仕組みが必要だ。放置しておけば益々技能のない若者が増加して失業率が高くなるばかりだ。

 スリランカは資源が豊かで植民地時代は紅茶・ゴム・ココナツ・木材・香料など安定的に輸出して豊かだった。無能で汚職まみれのスリランカの政治家・役人に任せていてはスリランカ経済の再建は絶望的と切り捨てた。

 漁協幹部氏の再建構想は外国資本に25年から50年という長期の租借権を与えて業界ごとに地域ごとに産業を再建するというもの。欧米・日本・インドの有力企業に長期利権を保証する代わりに設備投資と経営を任せる方式だ。

 例えば、スリランカ南岸漁港の運営権とインド洋での漁業権を日本の水産会社に与えて数百隻の漁船の操業を運営してもらう方式だ。政治家や役人の介入を完全排除した経営形態で海外投資家を呼び込むためには法的整備も必要だろうと漁協幹部氏は補足した。

メリッサ漁港で出漁準備をする漁師。メリッサ沖合はホエールウォッチング、イルカウォッチングの名所であり漁港の一角には観光ボートが十数隻係留されている

スリランカは再度先進国の植民地になるほうが国民は幸せなのか

 メリッサのメインストリートで客待ちをしていた三輪車タクシー運転手のD君は英語のレベルも相当なものであるが、日本語・フランス語・ロシア語などカタコトであるが、客に合わせて話すという多才な好漢だ。アルバイトで運転手をしているが本業は実家のゲストハウスの経営とのこと。

 D君はポルトガル・オランダ・英国という植民地時代を振り返り、民主主義国家の先進国にスリランカを統治してもらう方法が現実的だと語った。国民が安心して暮らせる国家になるには先進国の総督の下で汚職・横領のないクリーンな統治を実現すべきという。国連の信託委任統治領のようなアイデアだ。具体的には英国、日本、ドイツ、フランスあたりが望ましいというが。

 7年前に訪れたマルタ島の元造船工の老人の言葉を思い出した。「マルタは第二次大戦後に英国が海軍基地を引き揚げてから英国領から独立国家になった。だが小さな島国が経済的に自立してアフリカからの難民や密輸船や海賊に単独で対応することは不可能だ。ロイヤルネイビーに守られて英国経済圏のなかで安心して暮らしていた時代が懐かしいよ」と語っていた。

以上 第4回に続く

   
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